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オールドファッション(kt×ym) ページ28

kt視点



俺のボキャブラリーじゃなんと言っていいかわらないくらい、やまちゃんは素敵な人だ。

Jrとしての下積みもなければ、日本語が不自由な上に人見知りで、お父さんが事務所の大先輩ときたら
周りの仲間たちも俺への接し方がわからないのも無理はなかった。


努力もせずにデビューしたやつ。
そう思われても仕方がなかったし、
何も出来ない俺に厳しく教えてくれる人もいなくて一人ぼっちだった俺に普通に接してくれた初めての人がやまちゃんだった。


やまちゃんは、恵まれた見た目に恵まれた才能。
選ばれし人間ってこういう人を言うのかなって思ってたけどそれは大きな間違いで。


｢圭人。おい、聞いてんのかよゴリラ｣

｢っへ、あ、ごめん｣

｢ったく、聞いとけよ｣


久しぶりにゆっくりいられんのに、って呟いた小さな声は聞こえたよ？


｢んでさー、そいつが…ってぇ！うおー、そこ…｣

｢腰が痛い時ってここ超痛いよね｣

｢うおおお…っ！いってぇ、超いてぇ…！｣


お尻のちょうど窪みあたりをぐりぐりマッサージすると、ひーひー言って痛がるやまちゃんがだんだん面白くなってきちゃって、思わず笑ってしまった。


｢なぁに笑って、んだよっ、いってぇ！｣

｢腰が痛いからマッサージしろって言ったのやまちゃんじゃん｣

｢そ、だけど、っぐぉー…！ちょ、休憩！｣


息を切らしながら振り返って俺を睨みつけると、


｢くそ、ムカつく…でもやっと笑った｣

｢へ？俺そんなに笑ってなかった？｣

｢うん。どうせまたしょうもないこと考えてたんだろ｣

｢どうかな。しょうもなくはないよ｣


やまちゃんが綺麗で、眩しすぎて、恋人として隣にいてもいいのかなとか考えてたなんて言ったらまた怒られるから黙っておこう。


｢なあ｣

｢んー？｣

｢カフェしにいこ｣

｢いいよ。どこ行く？｣

｢こないだ前通って、よさげな雰囲気だったとこ。俺車出す！｣


やまちゃんはぴょこ、と起き上がると跳ねるようにクローゼットへと歩いて、ハットを二つ取り出した。


｢はい｣

｢ありがと｣


帽子だとか、サングラスだとか、
やまちゃんの小物を自然に使うようになったのはいつからだったっけ。

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