08・現実とのギャップ ページ8
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「相葉君、だ、大丈夫？」
レジで自分の財布を見て固まる俺、
そんな俺に彼女が心配そうに体を
寄せる。
「え？あ、うん！大丈夫、大丈夫！」
やっべぇぇ！
超ぎりっぎり！
松潤父ちゃんに教えられた最寄りの
駅までは、スイカちゃんでいけた。
財布の隅でその子の存在を見つけた俺、
思わずガッツポーズしたもんね。
なんかわかんないけど、あの入店前、
Aちゃんがちょっと焦ってた
意味が分かった。
俺、今、芸能人じゃなかった！
そんな事を変に実感して、店を出る。
自然に彼女と手を握ってた。
このまま帰る？
帰っちゃう？
ちらちらと見える町のご休憩場所が
なんだかやたらと目についた。
町をプラプラしていると、見えた
いるみねぇーしょん。
そういえば、こんな所、こんな風に
堂々と、女の子と手をつないで歩いたのって
ずいぶん昔、子供に毛が生えたくらいの
頃以来だって、気がついた。
きゅっと彼女の手を握る手に力を
いれると、彼女もきゅっと握り返して
くれる。
「きれいだね。」
「うん。」
たったそれだけ交わして、いるみねーしょん
輝く街を歩く。
あぁすっげぇかも、
いい感じ！
うん、すんげぇいい感じ！！
彼女をみると、ちょっと赤くなった
鼻の頭。
それがなんだかかわいくて、
絶対できない事をその時、衝動的に
しちゃったよね。
きゅって瞑った目とか、力が入った
手とか、ちょっとだけ冷たい唇とか、
なんかすんげぇ感動しちゃって、
あぁ、俺、今、絶対出来ない事、
出来てるっ！
って思うと、もうこの際いっかって
ぎゅっと彼女を抱きしめた。
そこが道の真ん中だって、
沢山の人が周りに居たって、
そんなの、
今、
芸能人でもなんでもない俺には
関係なくて、
ただ、腕の中の可愛い温もりだけ。
感じて、空を見上げた。
「しあわせかも。いま。」
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作者名：shaa.manamas | 作成日時：2018年2月1日 17時
