04-09・忍嵐事務所 ページ9
・
・
・
「ほら、これ、うちの事務所が贔屓に
しとるから、腕は確かや思うで。
他の顧客も大物ばっかりやしな。
ただし、料金は高いで。」
村上は仕事終わり、楽屋に来たマツコに
一枚の名刺を渡した。
それは知る人ぞ知る探偵社の名刺。
「ありがとう。助かるわぁ。」
「それと、忍者やけど、マツコこの後
仕事は?」
「すっぴんなの見てわかるでしょ。」
「ないねんな。ほな、いこか。」
「紹介してくれんの!?」
「お前が紹介せえ言うたんやんけ!」
「ほんと!仲介料払わないわよ!」
「わかっとるわ!
丁度向こうからも宣伝しといてくれ
言われててん。」
「あら!そうなの。ありがとう」
村上はマツコと共に楽屋を後にし、
待ち合わせ場所に指定されたビルへと
向った。
*****************
「ちょっと、本当にここなの?」
雑居ビルの一室。
くたびれたドアの前でマツコが心配げに
眉を寄せる。
「ああ。聞いてた住所はそうや。
しっかしあいつら稼いでんねんから、
もっとええとこ借りれるやろに……。」
村上の思わずそうこぼしたくなるような
場所だ。
扉を恐る恐るノックすると、
「はい。」
という聞き覚えのある声が聞こえた。
「じゃまするで。」
「邪魔するなら帰れ。」
お馴染みの返答にマツコが興味を
抱く。
部屋の中は雑然とした事務所。
入ってすぐの来客用スペースには
茶色の革製の二人掛け用ソファーが
二つ、対面になるように置かれている。
テーブルの短い面には手前に丸い
背もたれのない同じ茶色の革製の椅子、
その向こうには一人掛け用の同じく
茶色の革製のソファー。
そこに、件の声の主が、ゲーム片手に
肘掛けに両足を乗せリラックスした
表情でこちらを見ていた。
「ニノじゃない!」
「お、おマツ久しぶり。」
91人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:sayanちゃん | 作成日時:2017年7月21日 15時