ハロウィンの夜に☆３ (ページ12)

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「だが……。」

「大丈夫です。俺を見てくださいよ。
　ね？顔以外、すっかり元どおりでしょ？
　そこは信頼できます。」

「智を……智をお願いします。」

それまで黙っていた大野の両親が口を開き、そう言って
頭を下げた。

「頭をあげてください！！」

これには櫻井が慌てた。

大野の両親は元気な櫻井を見て、彼を信頼し、
全てを任せてくれた。

午前４時４８分。

松本、二宮と共に櫻井は一時自宅へ帰る事にした。
中村の運転する車に乗り込む。
相葉は斎藤と車に乗り先に出発していた。

「翔さんも和も俺んち泊まって。」

有無を言わさぬ目付きでそう言う松本に櫻井は
苦笑い。
二宮は厳しい表情のまま

「了解」

とだけ答えた。

松本の部屋。
コーヒーを入れた松本が、ローテーブルに
置きながら

「で？」

とラグに座る櫻井を見る。
対面に座る二宮もじっと櫻井を見つめた。

「智くん、
　あの時点ではまだ、死にきれてなかった。」

「どういう事？」

松本が聞く。

「セイレーンって知ってる？」

「あの、海の女の怪物でしょ？
　歌声で船員を惑わすっていう。」

二宮が答え櫻井が頷いた。