ハロウィンの夜に (ページ17)

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１７・sho ページ17

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４人の血液検査の結果は白。
全員感染していなかった。

一方、雅紀の感染ルートが解明され、
原因になったのは、虎だった。

海外ロケで接触していたその虎は、
人間のペットとして飼われており、
その飼い主が犬からウイルス感染。
そして、虎へ、虎から雅紀へというルート。

どうぶつ園のスタッフに感染者はいなかったが、
現地のコーディネーターが感染。亡くなっていた。

雅紀は今、呼吸器を付けられ、集中治療室にいる。
この３日間で４０度を越える高熱が続き、意識が
混濁しているのだ。

俺らは全員、仕事をキャンセルしてもらい、
昨日から、雅紀の病室で付き添っている。

そこには雅紀の両親の姿も。
全員が防護服に身を包み、雅紀の病室の隣、ガラスを
隔てた待機室と言われる、家族専用の場所で、窓越しに
雅紀を見つめている。
交代で雅紀の側に行き、手を握る。

医者には今夜が山だとはっきりと言われた。
狼のもっていた免疫のお陰で、雅紀の体内では
ウイルスと雅紀の免疫が戦っている。
普通ならとっくに負けていると、文献で読んだ。

あの狼は研究のために血液を採取され、今は
子孫を残すための交配がすすめられているらしい。
雅紀も生き残れば、研究対象としての日々が待っている。

それでも、
それでも雅紀には生きて欲しい。

どんな研究の毎日が待っていようと、生きて欲しい。

俺たち全員の思いだった。

機械の嫌な高音が部屋に響く。
雅紀の母親が崩れ落ちた。

俺も、松本も呆然とし、動けない。

医者が、雅紀の、雅紀の回りを取り囲む。

「うそ……、うそだろ？」

俺の言葉が床に落ちた。

「まー！！まー！！まー！！帰ってこいよ！！」

ニノの絶叫が木霊する。

雅紀の口が微かに動いた気がした。
智くんがただただ涙を流している。

雅紀の体が大きく跳ねた。

機械音は鳴り止まない。
雅紀が、帰ってこない……。

騒がしい病室内のなかで、すべての音が
消えたみたいだった……。

医者が頭を下げた。

１２時５５分……。