「他と違う」ってこと Ⅱ (ページ8)

今日:1 hit、昨日:25 hit、合計:39,823 hit

2 ページ8

「そんでな、僕が彼女の大事なもんを落としてしまった時の…理不尽な力に屈する彼女の絶望の表情を見て…」

キリヲ先輩が胸元をぎゅうっと掴み、顔を俯かせる。

『キリヲ先輩…』

無理に話をしなくても、と声をかけようとした瞬間─

「めちゃめちゃ興奮したんよ」

快楽の表情を浮かべ、そう言った。

『…え？』

「あの時の彼女の表情(かお)がもっかい見たくてな。そんで、Aちゃんに協力してもらおう思うて。」

『なっ何を…』

明らかにいつもと様子が違うキリヲ先輩から距離をとろうと、椅子から立ち上がった瞬間、頭がクラっとしてよろける。

『あれっ…？』

まさか…

「気づいた？そのお茶、睡眠薬入りなんよ。Aちゃん、一度寝ると中々起きてこおへんらしいかんな。しばらく寝ててもらおう思うて。」

立っているのも辛くなってきて、床に座り込んでしまう。

「イルマくんたちが作ってくれた花火とAちゃんの魔力を借りて、学校をぶっ壊そう思うてるから協力してや。そんで、全てが終わった後の君の絶望の表情(かお)、見せてくれへん？」

キリヲ先輩が何か言っているが、頭がグラついて話が入ってこない。ついに、腕で体を支えることもできなくなり…床に倒れた。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

「聞こえてへんか…よいしょ」

キリヲは倒れてしまったAの首裏と膝裏に手を回し、持ち上げた。

「軽くて助かったわぁ」

そして、装置の近くにあるソファに寝かせると、Aの腕と装置から伸びる線を繋いで、バリアの中に閉じ込めた。

「さて、最後の祭りを始めよか」

髪をかきあげながらそう呟く。

「いよいよやなあ…兄さん。ドキドキするわ。今日で全部が最後(おわり)。最後(おわり)か…いや、始まりや。」

キリヲは師団披露を楽しむ生徒たちを見下ろしながら、自分の首飾りの石を壊した。