「他と違う」ってこと Ⅱ (ページ47)

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「やーイルマくんとAちゃんが困ってるっていうから、許可書？っていうの？持ってきたよ。ほらこれ。」

「えっ…ありがとう」

「プラス1！」

「ありがたいけどねー」

「ん？なんじゃ足りんのか。おーい、やっぱりもっといるってよー。」

用務員さんが声をかけると、食堂従業員や売店員、清掃員といった様々な職員さんがわらわらと職員室に入ってきた。

「おーいイルマくーんなんか書類がいるんだって？」
「許可書ってこれだろ？ちゃんと全員分あるはずだぜ」
「これ、今日休みの人の分！Aちゃんに渡してって」

「なんで…」『どうして…』

「だって困ってるんだろ？イルマくんとAちゃんにはいつも校舎の補修を手伝ってもらってるし」
「Aさんが店番なされると儲かる」
「イルマの食べっぷりは食堂班みんなの良い刺激になってるヨ！」
「兄ちゃんたちも色々手伝ってくれたんだろ？」
「いつも手伝ってくれてほんと助かってるよ！」
「一緒に荷物運んでくれてありがとう」
「なにかあったら言えよ！」

「俺たちはさ…イルマくんとAちゃんのファンなんだから！」

ファン…

「フッ、フッフッ…アッハッハッハッ！そうか！ファンか!!」

イルマくんが嬉しそうに笑って、私の肩に腕を回す。

「感謝する。Aも手出せ！」

『えっ…うっうん』

イルマくんに言われるがままに拳を出し、職員さんの拳に向ける。

「おう！」

コツっと3つの拳が合わさった。

「これはきっと、俺だけでは成し得なかったことだ。Aのおかげだな！」

イルマくんがニッと笑って、カルエゴ先生に話しかけに行った。私のおかげ…そっか…

「皆に笑われて馬鹿にされて─…問題児クラスは確かに道化師のようだ。だがこの一件…今日に限っては、これがバビルスの総意らしい。」

自分のことでいっぱいいっぱいだと思ってたけど、ちゃんとみんなの役に立ててたんだ…

「道化師は愚者だが民衆の心を動かすんだ。みんな問題児クラスが王の教室(ロイヤル・ワン)に入るところが見たくなった…興味の勝利だ。」

困っている者には手を差し伸べる…きっと、この掟のおかげだ。

「書類が揃ったら…サインしてくれるんだろ？」

ニコニコ顔のイルマくんとは対照的に、カルエゴ先生がとても嫌そうな顔をしながら判を押す。

「「問題児クラス、王の教室(ロイヤル・ワン)へ移動決定ー!!!」」

問題児クラスのみんなが笑顔になり、職員室で喝采が起こった。