「他と違う」ってこと Ⅱ (ページ28)

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『アリス？ホントに大丈夫？』

「あ、あぁすまない！少し考え事を…」

『ふふ、アリスは本当にイルマくん思いだよね！』

今しがた考えていたのはAの事なのだが、素直に言えないアリスは取り繕う。

「そっそうだ…！イルマ様のためならばこのアスモデウス・アリス！どんな困難も突破してみせる!!」

『頑張ってアリス！私も味見頑張るね!!』

味見を頑張るとは…？

『(昔のままだったら、こんな風に誰かのために一生懸命になれるアリスは見れなかったんだろうなぁ…やっぱりイルマくんはすごいなぁ…)』

Aは感動しているが、先程からアリスは包丁でちょんちょんと魚をつついているだけである。一向に進む気配がない…

『(アリスが頑張ってるんだし、私だけ味見係じゃダメじゃない！私も何か作ろう!!)』

アリスが格闘している台から少し離れた所で、Aも腕をまくって気合を入れる。こっそりダヴィデにお願いして用意してもらった食材を使って、手際よく作業する。

そして完成したのが、オムライスだ。前に入間が、オペラの作るオムレツが好きだと言っていたのを覚えていたAは、ケチャップで味付けしたライスをオムレツのように包んだ料理─オムライスを作ったのだ。

スプーンで一口分掬ったAは、まだ魚と格闘しているアリスに差し出す。

『アリス、口開けて！』

「はっ!?」

『早く！』

Aに急かされたアリスは、マスクを外して口を開ける。そして、口に入れられたオムライスを咀嚼して飲み込んだ。

『…どう？』

「おっ美味しい…!!」

『よかった〜！これ初めて作ったんだけど、アリスが美味しいって言うなら間違いないね！』

笑顔でそう言われ、美味しい手料理をあーんされて…Aの胃袋を掴むはずだったアリスは、逆に胃袋を…いや、心臓まで一緒に鷲掴みにされてしまった。

「はぁ…はぁ…(胸がッ…苦しい!!)」

『えっ、アリス大丈夫!?』

突然息切れを起こすアリスにAは心配して背中を摩るが、

「おっ美味しすぎて、息切れがッ…！」

苦し紛れの冗談を言うアリス。

『そっそんなに美味しかったんだ…嬉しいよ…』

冗談が通じないAは軽く引き気味である。

「(Aがこんなにも美味しい料理を作ってくれたんだ！)私も頑張らねば…!!」

『がっ頑張って…！』

Aからの声援を受け、「ウオオオオ！」と叫びながら再び魚と格闘するアリス。