不機嫌な彼を攻略するには

気になっちゃうなぁ ページ15

虫眼鏡said




『あ、おはようございます！』


虫「おはよう、早いね。」




撮影前に、今日の編集を終えたくて、いつもより早めにスタジオに着いた。

ドアを開けると朝から元気いっぱいのA。

何時に起きてんだ？

女の子だから俺らより準備に時間もかかるだろうに。




『虫さんこそ早いですね。』


虫「僕は編集終わらせたくて。」


『朝からご苦労様です。』




ペコっと頭を下げる。

僕たちのためにこんな早起きしてくれて、こちらこそご苦労様です、という気持ちになる。

パソコン開いて編集始めると、邪魔をしないようにか、静かに撮影の準備をしたり、掃除をしたりしてくれているようだった。

ひと通り編集を終えた頃、コーヒーのいい匂いがしていることに気づいた。

匂いにつられてキッチンへ向かう。




虫「なーにしてるの？」


『あ、虫さん。
編集終わったんですか？』


虫「うん、終わったよー。」


『ちょうど良かった。
コーヒー淹れたんですが、良ければ飲みませんか？』


虫「ありがとう。」




Aの淹れてくれたコーヒーは、どこぞやのカフェに負けないくらい美味しかった。

コーヒー飲みながら待ってると、ぞろぞろメンバーが集まってきた。

みんないい匂いに釣られては、Aからカップを受け取って帰ってくる。

最後にやって来たのはとしみつ。




と「はよー。」


「「おはよー。」」


と「え、なに。
みんなコーヒー飲んで。」


虫「Aが朝早くから美味しいコーヒー淹れてくれたの。」


と「ふーん。」




荷物を置いて、としみつも例に漏れずキッチンへ。




『おはようございます。
コーヒー、飲みますか？』


と「ん、もらう。」


『ちょっと待っててくださいね。
…あ、あの、この間はありがとうございました。』


と「別に、気にせんでいい。」


『嬉しかったです。
…はい、どうぞ。』


と「ありがと。」




キッチンから聞こえてくる声に耳を澄ませてると、どうやらとしみつとAの雰囲気が以前と違う気がする。

あいかわらずぶっきらぼうなとしみつだけど、ちゃんとAの話聞いてるし、最初のバチバチ感がなくなってる。

しかも、“この間はありがとうございました”ってなんだぁ？

なんかあったか、あの2人。

おじさん気になっちゃうなぁ。

まあ、みんなAのこと気に入ってるみたいだし、としみつも早く素直になってくれればいいな。

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