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二十四話 ページ26

五条side



「バカ………あいつ、どこ行ったんだよ………」


勢いで飛びだしたはいいものの、彼女はなかなか見つからなかった。

鬱陶しく絡みついてくる雑魚呪霊を乱雑に振り払う。
先程から見つけるのは呪霊のみ。
そろそろ苛立ちも限界に達していた。


「嗚呼もう何なんだよ!」


煩わしい呪霊達に、思わず怒鳴る。と、そこに痕を見つけた。


「これ………」


Aの、術式の痕。
つい前に、解放されたばかりの彼女の術式の痕が、その呪霊の傷跡に、残っていた。

俺は、思わず辺りを見回す。
適当に払い除けてきた呪霊達の、一つ一つ、それぞれ全てに、


──────痕がついていた。



「全部………これ全部やったのかよ………」


思わず零す。

執念すら感じられる、一つ一つの傷痕。



「どこ行ったんだよ………マジで………!」



拳を握りしめる。
自分の無力感に腹が立った。

もう少し早かったら。
もっと彼女を分かっていたら。

そんな思いだけが募って行く。

そこに、何か黒いものを見つけた。


「………髪……?」


それは、毛束だった。

しかも、血の付いた。


血で鈍く変色した短い黒髪の切れ端。
切り裂かれた衣服の欠片。


「相当やられてるな」

「………!?」


何処からか、声。

隠しようがない、家入硝子の声だった。


「あいつが行くところなんて、夏油のところに決まってる」

「硝子………!どこだ──────」

「夏油は、ここから真っ直ぐ行った先を右にある辺りにいる。Aの痕跡を追ってけば着くよ」

「………何で分かるんだ──────」

「術式痕が荒いね。まだ粗削りだし、慣れない初めての術式だから、相当浪費してる」

「どこに──────」

「早く行ってあげなよ」


姿の見えないまま、彼女は抑揚なく言った。



「早く行ってあげな。私が手を貸したんだから、その分頑張って貰わないと」

「何で───助けた」


信じられない思いで、問う。

ここにいないはずの、
聞こえないはずの、

彼女の声に、問う。


彼女は、答えた。


「言ったじゃん──────」





「───────まだ、だって」









────────『これ以上お前が腑抜けなら』




────────『見捨てる』







最後は皮肉にそう言って、彼女は去ったようだった。



木の陰から漏れ出ていた、コンピューターの光がふっと消える。







「………………ありがとう、硝子」






俺は、空を見上げた。

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紫夜乃 - ありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2021年8月7日 17時) (レス) id: 9a32eeac5c (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - そうでしたか!わざわざありがとうございます!これからもこの作品が完結するまで楽しく読ませていただきたいと思います。更新頑張って下さい!! (2021年8月4日 1時) (レス) id: bfd4f19ab4 (このIDを非表示/違反報告)
紫夜乃 - ごめんなさい!二十二話の前の・の所で作者挨拶の後に二十一話が入ってます!分かりづらかったので後で修正しておきます!これからも応援よろしくお願いします! (2021年7月4日 9時) (レス) id: 9a32eeac5c (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - 面白いです!更新楽しみにしてます!あと質問なんですが21話って非公開か作中だったりしますか?22話公開されてるの見たのですが話がぶっ飛んでて困惑してますw (2021年7月3日 23時) (レス) id: bfd4f19ab4 (このIDを非表示/違反報告)
紫夜乃 - コメントありがとうございます!更新は遅いですが、がんばります! (2021年4月29日 20時) (レス) id: fef3ff785e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紫夜乃 | 作成日時:2021年3月27日 16時

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