◆ ページ4
＿＿＿＿考えたことなんて、無かった。
ヴィドのことがあるまで、私はただひたすらに彼を守り、彼に仕え、隣にいる事が私の義務だと思っていた。
彼自身が言うように、
リヴァイさんは私を助けた命の恩人であり、
私が入団した兵団の直属の上司であるから。
でもヴィドのことがあったとき、初めて私は”私自身の意思で”彼の隣にいたいと、思っていることに気がついた。
＿＿＿＿それは、どうしてなのだろう。
「…どちらでもあります」
何とか声を絞り出す。リヴァイさんの顔が、怖くて見られない。
＿＿＿あれ。
何で、怖いんだろう…？
私は、何を恐れているのだろう。
…わからない。
分からない？
＿＿＿＿ううん、見ないふりをしてるだけ。
まだ答えに満足していないリヴァイさんが、眉を潜めて私を見つめ続けている。
「わ、私にとってリヴァイさんは…、
心臓を捧げると決めた唯一の人で、私が守らなきゃいけない人で、隣に、いなきゃいけない人です」
リヴァイ「…そう思うのは、何故だ」
私の見えないふりをしている閉ざされた所を突こうとしてきているような気がして、口を開こうとすると目に何故か涙が浮かんだ。
「リヴァイさんは私にとって＿＿＿
大切な、人だから」
何とか絞り出した答えが、宙に溶けて消えていく。
しばらく沈黙が続き、やがてリヴァイさんは私のことを掴んでいた手を離した。
リヴァイ「…そうか」
その声は諦めにも取れたし、
幻滅にも取れるような気がして。
「リヴァイさん…」
嫌われてしまったかと思って、彼の名を呼んだ。
しかし私の不安とは裏腹に、リヴァイさんは私の髪にそっと手を触れ、優しく撫でる。
リヴァイ「…無理に聞いて悪かった。
もう、何も考えなくていい」
どこか寂しげな瞳と声色に、胸が傷んだ。
それだけ言って部屋を出ていってしまったリヴァイさんの背中も追えず、ただ私はその場に座り込む。
無理に聞かれた、わけじゃない。
考えたくないわけじゃない。
私はいつもいつも、逃げてばかりだ。
5年前から何も変われてなんていない。
本当は分かってる。
リヴァイさんが言わせたい言葉も、
ハンジさんがあんな質問をしてきた理由も。
分かってて逃げた。
大切な人に、あんな顔をさせた。
あんなことを言わせた。
「…最悪、だ」
私はただ呆然と、燭台の灯りも届かないような暗闇にしがみつきながら泣き続けた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 344人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
むささび(プロフ) - 一気に読み進めてしまいました。とても面白かったです。番外編ではなく、是非続編として本編のストーリーで夢主ちゃんが活躍＆キャラと絡むのか拝見したいです！一先ずはお疲れ様でした！また拝見出来る日を楽しみにしております。 (6月26日 17時) (
レス) @page35 id: 2279a97b0b (このIDを非表示/違反報告)
みみみみみ(プロフ) - フォールさん» ありがとうございます！完結まで見届けてくださり嬉しいです🙇♀️これからもがんばります、、！！ (2023年3月16日 16時) (レス) id: d7f9a920c5 (このIDを非表示/違反報告)
みみみみみ(プロフ) - ゆるさん» コメントありがとうございます！とても光栄です🙇♀️これからも頑張ります！😭 (2023年3月16日 16時) (レス) id: d7f9a920c5 (このIDを非表示/違反報告)
みみみみみ(プロフ) - らなさん» ありがとうございます…！とても嬉しいです😭これからも頑張ります💪 (2023年3月16日 16時) (レス) id: d7f9a920c5 (このIDを非表示/違反報告)
フォール(プロフ) - 完結おめでとうございます！！！素晴らしい作品だったので無事完結したことを嬉しく思います！！すっっごい面白く、素敵な作品で、あっという間に最後まで読んでしまいました！これからも頑張ってください！！！ (2023年3月15日 23時) (レス) @page35 id: eb505c02be (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みみみみみ | 作成日時：2022年10月22日 22時
