19-3. ページ3
.
『相良くん…!』
放課後の門前に、開久の制服で銀髪の相良くんはかなり目立つ。
多くの軟高生が避けるように下校していく中、相良くんに駆け寄る私に周囲の視線が集まっていた。
『ごめんね。待った?』
「いや、さっき来たとこ」
『たっ…たけ…た…』
「いいって。無理すんなよ」
『あの…どこか、寄って帰る…?』
理子ちゃんにアドバイスされた通りに、自分から誘うっていうのを実践してみる。
緊張から相良くんの顔が見れなくて俯いていると、相良くんの手が優しく私の頭に触れた。
「今日は帰ろーぜ」
『…うん』
ちょっと残念…
もう少し一緒に居たかった、な…
そのままとくに会話もなく帰り道を歩き続け、家が見えてきたところで、少し前を歩いていた相良くんが振り返った。
「A、寝てねぇだろ」
『えっ、どうして…』
「クマできてんだよ」
相良くんが私の両頬を手で覆うと、親指で私の目元をなぞる。
なんで相良くんにはわかっちゃうんだろう…?
他の人は誰も気づかなかったのに
「俺んちで一緒に寝るかぁ?」
『ええっ!?』
驚く私を相良くんが自分の家へと引きずるように連れ込むと、ベッドに無理矢理寝かせられる。
目の前には相良くんの顔と見慣れない天井。
あまりにも色んなことが一度に起こりすぎて、パニックな私を相良くんが口元に笑みを浮かべながら見つめていた。
『えっ…あの…』
「ん?」
『な、なん…えっ…』
「Aちゃん、もしかして本気で一緒に寝ると思ってんの?」
『っ…』
「俺はそうしてぇけど?それだとA寝れねぇだろ」
布団をかけてくれた相良くんは、乱れた私の前髪を整えてくれる。
その姿に熱を出した時にお見舞いに来てくれた相良くんが重なった。
『いつもありがとう』
「なんだよ、急に」
『ずっと言いたかったの』
相良くんはいつも私を気にかけてくれる。
私はそんな相良くんに助けられてばっかりで…。
『だから…ありがとう、猛くん』
「はっ?」
『あ…言えた。言えたよ!猛くん猛くん猛くん…っ!』
名前を呼べたことが嬉しくて、ベッドから飛び起きた私の勢いに押され、猛くんと私の視界が逆転する。
初めて見下ろす猛くんは顔を腕で隠しながら、「っ…わかったから」って私を押しやった。
隠してたけど猛くんの耳が赤くて、それがなんだかすごく可愛かった。
.
613人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
未亜(プロフ) - 青葉さん» 青葉さん、コメントありがとうございます!誤字訂正させていただきました! (2019年8月12日 6時) (レス) id: 6167177232 (このIDを非表示/違反報告)
青葉 - 物語読んでいて気が付いたのですが...。 29-5.のここの台詞 『私と話がしたいんだよね。逃げようとしてごめんなさい。別れ話でもちゃんと聞くから、美咲さんに怒らないで』 これ正しくは美咲さんをではないんでしょうか? (2019年8月10日 1時) (レス) id: fa78cdaff1 (このIDを非表示/違反報告)
青葉 - 物語読んでいて気が付いたのですが...。 29-1.嫉妬しましたのここの部分 きっとチョコレートの食べ過ぎて胸焼けしてるのね 味見はしばらく控えるようにしないと… これ正しくはチョコレートの食べ過ぎで もしくはチョコレートを食べ過ぎてではないんでしょうか? (2019年8月10日 1時) (レス) id: fa78cdaff1 (このIDを非表示/違反報告)
青葉 - 何度も続けてのコメントですみません...。 物語読んでいて気が付いたのですが...。 同じく28.会えない日々のここの台詞 「…私、猛の彼女の見てみたいんだけど!」 これ正しくは猛の彼女のことではないんでしょうか? (2019年8月10日 1時) (レス) id: fa78cdaff1 (このIDを非表示/違反報告)
青葉 - またまた続けてのコメントですみません...。 物語読んでいて気が付いたのですが...。 28.会えない日々のここの部分 ※美咲さん、今回の話でお名前被ってしまってすみません。 これってどういう意味なんでしょうか? (2019年8月10日 1時) (レス) id: fa78cdaff1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:未亜 | 作成日時:2019年3月2日 19時