其の弐【どうして】トリップ少女、スマホ片手に神になる｡【こうなった】

#55 続、番外編 ページ18

「ひっく……だいたいなんで私に祈るんですかぁ…私に祈られたって次元越えて助けられるわけないでしょう〜！アルト様に睨まれたら神生オワタだし！他の神の管轄に手出すってことはねぇ、アンタ等で言う領空侵犯。国際問題なのっ！それなのに一ヶ月あたり10人単位で居なくなるから世間は神隠しだなんだって大騒ぎだしさぁ！知らねーよぉっ私に泣きつかれたってどうもしてあげられないのよぉ……なのに、親御さん達はノイローゼになったり仕事放棄して働かなくなったり。そうしたら皆の記憶から消すしかなくなるじゃないっ！うわぁぁぁああああん。」


「…姉上落ち着いてください。」


ついには泣き出した姉を宥めるツクヨミ様。

「ヅグヨミィ……おかわり。」

「何言ってるんですか姉上、飲みすぎです。」


心配そうに眉を下げて苦笑いするツクヨミ様。だが、全ては彼の作戦どおりであり心の中では笑っていることだろう。


「アルト殿、すみません。しかし今夜は無礼講、許していただき…たい。」

アルト様の反応を伺おうとして思わず固まってしまったツクヨミ様。
それも仕方がない。


「アマテラス殿ぉぉおおおっ！」


マジ泣きである。


「ぞうか、さぞ辛がっだろう……私もだなぁ、三次元の人間が夢を膨らませ、形にするたびどんどんと生まれる世界。それは素晴らしいことだよ？だけどねぇ、そう次々、次々と造られては時空が歪むに決まってるだろう！追い付かないさ、つうかそもそも神をなんだと思ってんだよアイツ等。神にだって限界ってもんがあんだよ！限界がなかったら、何でもできたら世界中に神は一人でいいんだよ！できないから何人も存在するし、俺達を支える天使がいんの！穴が空いた？頑張って塞ぐ工事大量発注してるさ、人手足りないから俺自らもやってるさ！二次元に飛ばされた娘達も帰そうとしてるさ！それなのに“皆といたい”とか何ほざいてんだよ！その上俺達が悪役扱いだし？なんなの？そのくせ原作どんどんねじ曲げてくし、修復作業する俺等がどんなに大変かっ！だいたいトリップして開口一番“よっしゃああああ！”って何！？お前らどんだけ親不孝なの？というか……」


敵に回したら笑顔で潰されると恐れられている神界の大物中の大物。
あのアルトリューン様がマジの男泣き。多少ビビって目を擦るくらいしょうがない。


「アルト様、落ち着いて下さいませ。」

「エリカぁあああああああ。」

「ぅゎ酒くさっ…離れて下さい。」


……話し合いはまだ続く。

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