第9話 ページ10
＿＿放課後。
私は最寄りの駅まで全速力で駆けていく。途中何度か転びそうになったが、何とか無傷で着くことが出来た。
「…！みちえ、」
帽子を被ってる道枝先輩の姿を見つけて名前を呼ぼうとすると、道枝先輩は自身の唇に人差し指を立てて私を制止した。
そうだ、ここは駅で人通りも多い。こんなところで道枝先輩の存在を知らせるわけにいかないのだ。
「ご、ごめんなさい」
道「”あれ”、持ってきた？」
「…はい！確かに！」
道枝先輩からさっき電話がかかってきたときは、まさか放課後遊びに行ったりするのでは…！？と思ったがもちろんそんなわけはなく。
私は鞄の中から頼まれた物を取り出す。
頼まれたものとは、まさにさっきネットニュースで見た、道枝先輩が主演のドラマの台本だった。学校に忘れてきてしまったらしい。
私が両手で台本を差し出し、道枝先輩がそれを受け取ろうとする直前で、私は台本をひいた。
道枝先輩が怪訝そうな顔をして私を見る。
「ひとつだけ、教えてください」
生意気な行動をしているのは分かっていた。
もしかしたら、LINEを交換できた上、こうして忘れ物を頼まれたことに対して調子に乗っていたのかもしれない。
「どうして…LINE、交換してくれたんでしょうか」
私の問いに、道枝先輩はふぅと溜め息を吐いた。
道「…君、俺のせいで有名人になってたから」
「…え？」
道「言われてたでしょ、図々しいとか何とか」
私は目を見開いた。
だったら、道枝先輩は私を助けるために、私の汚名を晴らすためにと交換してくれた…ということだろうか。
道枝先輩は「もういいやろ」と言って私の手にあった台本を簡単に取り上げる。
「じゃ、じゃあ今回この台本を私に頼んだのは」
道「…同じ学校にLINE交換してる人いないから」
「え、…ええっ！？」
まさかの事実に、私はさらに目を見張る。
まさか私が学校内で唯一道枝先輩の連絡先を知っている存在、だとは。
胸がぎゅうと締め付けられたとき、道枝先輩の電話が鳴った。
道「…ごめん」
道枝先輩は私に謝ってから、少し離れたところで電話し始める。
道「はい、分かりました＿」
恐らく仕事の電話をしてる道枝先輩を見て思い出す。
そうだ、＿彼はジャニーズで、芸能人で、私なんかとは住む世界が違う人。
電話を終えた道枝先輩が、私のもとへ来る。
道「ごめん、ありがとう。そろそろ行くわ」
「…はい、お仕事頑張ってください！」
去っていくその背中は、ひどく遠い存在に思えた。
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みみみみみ(プロフ) - 梅原裕さん» とても嬉しいお言葉ありがとうございます…😭😭読んでくださりありがとうございました！！ (2022年11月15日 20時) (
レス) id: 6d4045960a (このIDを非表示/違反報告)
梅原裕(プロフ) - 完結おめでとうございます✨最高すぎますよ！！！これは何回でも読める！！ (2022年11月15日 15時) (レス) @page29 id: 0d3bb14795 (このIDを非表示/違反報告)
みみみみみ(プロフ) - みちなが信者さん» 良かったです😭非常に嬉しいお言葉ありがとうございます😊ぜひまた新しいものが出たら読んでいただけると嬉しいです💘 (2022年10月22日 22時) (レス) id: 9e81ad151e (このIDを非表示/違反報告)
みちなが信者 - 完結おめでとうございます🎉毎日楽しみに見させてもらってました😊また、新しい作品がでたら見させていただきます🙏素敵な作品ありがとうございました❗️ (2022年10月22日 18時) (レス) @page29 id: 9b1daafc8e (このIDを非表示/違反報告)
みみみみみ(プロフ) - みちなが信者さん» わああ今気づきました！教えてくださってありがとうございます！修正いたしました！😊 (2022年10月7日 19時) (レス) id: 26ad081759 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みみみみみ | 作成日時：2022年9月28日 18時
