第10話 ページ11
それからしばらく、道枝先輩に会えない日々が続いた。
「あ、…」
テレビでかかったCMで道枝先輩の姿を見て、ふとLINEを送ってみようかと思ったが。
結局、あの電話の事を思い出して止めてしまった。
今頃道枝先輩は、相手役の綺麗な女優さんと一緒に撮影しているんだ。たくさんのスタッフに囲まれて、大人に囲まれて…。
最近私は、ため息ばかりだ。
・
奈津「A!今日道枝先輩来てるってよ?」
「え…?」
ある日、奈津が私の肩を揺さぶって言った。
奈津「先輩のクラス行く?」
「あ…いいかな」
奈津「は?いいの?」
「うん。迷惑になりたくないし」
奈津「…熱でも出た?大丈夫?」
奈津は眉間にシワを寄せて、私のおでこに手を当ててくる。私はから笑いをして「大丈夫だよ」と優しくその手を退けた。
出来ればもうあんまり関わらないようにしようと、そう思っていた。
道枝先輩の側にいると、もっと近づきたいって、周りが見えなくなっては先輩との距離の遠さを分からされて落ち込むだけだ。
それならもとの、ただ見ているだけの存在に戻る。
そう、その方がいいに決まってるんだから。
『なぁ、道枝って何であんなすかしてんの?』
廊下を歩いているとき聞こえてきた、3年生男子グループの会話に心臓が大きく跳ねた。
『まじ調子乗ってるよな』
『つか正直あの態度きもいわ』
「…きもくないです!!」
言ってからハッとする。私は何をしてるんだ。
男子グループが私に気づいて、半笑いで近づいてきた。
『なに、あんたも道枝ファンのひとり?』
『庇うとか健気だねぇ?』
『道枝はお前がなにされてても助けてくれないっていうのに』
私はそのグループいつの間にか囲まれていた。
どうしよう、逃げられない。私は咄嗟にスマホを取り出す。
「動画取ってSNSにあげますよ…道枝先輩は怒らなくても、ファンの方は怒るでしょうね?」
その言葉に、グループのひとりがかっと目を見開いて私の胸ぐらを掴んだ。
『じゃあスマホでもなんでも壊してやるよ!調子乗るなよ女のくせに!』
そのまま突き飛ばされて、その男によってスマホが踏み潰された。
「あ…!」
『お前なんか今日いらいらしてんなー?』
『うるせぇな…煙草でも吸いに行こうぜ』
男たちが去っていった後スマホを確認するも、ダメそうだった。
私の目から何の涙か分からない涙が溢れる。
何で、庇ったんだろう。
授業のチャイムが鳴り響いても、私はまだそのまま座って泣き続けていた。
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みみみみみ(プロフ) - 梅原裕さん» とても嬉しいお言葉ありがとうございます…😭😭読んでくださりありがとうございました!! (2022年11月15日 20時) (レス) id: 6d4045960a (このIDを非表示/違反報告)
梅原裕(プロフ) - 完結おめでとうございます✨最高すぎますよ!!!これは何回でも読める!! (2022年11月15日 15時) (レス) @page29 id: 0d3bb14795 (このIDを非表示/違反報告)
みみみみみ(プロフ) - みちなが信者さん» 良かったです😭非常に嬉しいお言葉ありがとうございます😊ぜひまた新しいものが出たら読んでいただけると嬉しいです💘 (2022年10月22日 22時) (レス) id: 9e81ad151e (このIDを非表示/違反報告)
みちなが信者 - 完結おめでとうございます🎉毎日楽しみに見させてもらってました😊また、新しい作品がでたら見させていただきます🙏素敵な作品ありがとうございました❗️ (2022年10月22日 18時) (レス) @page29 id: 9b1daafc8e (このIDを非表示/違反報告)
みみみみみ(プロフ) - みちなが信者さん» わああ今気づきました!教えてくださってありがとうございます!修正いたしました!😊 (2022年10月7日 19時) (レス) id: 26ad081759 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みみみみみ | 作成日時:2022年9月28日 18時