◆ ページ10
(リヴァイside)
何だ、この有り様は…。
リヴァイ「チッ…遅かったってか」
ハンジ達に説明をするのに手惑いすぎたか。
立体起動で地下街を駆けると、倒れてる憲兵と血溜まりだらけだった。
立体起動をした憲兵複数人相手に、これだと…？
エルヴィンの読み通りって訳か。本当にやりやがった。その地下街の悪魔とやらはどんな奴なんだ。
何故、こんなことが出来る。
この地下街の悪魔捕獲作戦は、かなり内密に行われている。殺人鬼を兵団に入れると発表すれば、兵団内で混乱を巻き起こしかねないからだ。
ハンジ率いる少数人が、地下街の悪魔の親玉だという憲兵ご公認の殺人グループの拠点に乗り込み、身柄を拘束する。
そして俺が地下街の悪魔を捕獲する…。
しかしそれも、憲兵がやられたらの話だった。
まさか実行する羽目になるとはな。
俺は音響弾を打ち、作戦開始を知らせた。
俺は憲兵の死体を辿っていく。どこだ。もう近いはずだろ。地下街の悪魔とやらが。
必死で移動しながら目で追うと、倒れてる憲兵達の中心で突っ立ってる奴がいた。
…あいつか？
しかし戦闘の意思が消えたのか、銃を持つ手は下がっている上、俯いている。
俺がそっちに向かっていることに気がついていないわけがないというのに。
俺はそこに降り立った。
そして地下街の悪魔本人を確認して、驚愕する。
女、しかもガキか？
身体は不健康に痩せ細っていて、身長も小さい。
こんな明らかに力の無さそうな奴が、どうやって憲兵を殺してる。
「…調査、兵団…？」
女はゆっくりと顔をあげて、呟いた。
ちゃんと聞かないと聞き取れないような声量だ。
「何で、こんなところに…」
リヴァイ「…お前が”地下街の悪魔”か」
「…そう、呼ばれてるらしいですね」
女は興味無さげに、そう呟く。
声色も表情も、ひとつも変えないまま。
「早く、殺して…」
女は震えた声でそう呟いた。
赦しを乞うような声だった。ただ、その声は、
苦しい、助けて。
そう、叫んでいるようだった。
リヴァイ「…お前は俺を殺そうとしねぇのか」
「…貴方は、調査兵団だから対象者じゃない。
私の、仕事の範疇じゃない…。
だから、早く、私のこと…」
さっきまで顔色ひとつ変えなかったこの悪魔とやらの目には、涙が浮かんでいた。
リヴァイ「チッ…殺さねぇよ」
俺は立体起動の留め具を外して、床に落とした。
戦闘意思がないことを示すためだ。
リヴァイ「お前を調査兵団に勧誘しに来た」
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作者名：みみみみみ | 作成日時：2022年9月20日 17時
