◆※グロ注意 ページ6
『これからここに茶髪の男が来る。年齢は30代と
いうところだろう。来たらそいつの首を切れば
それでいい、そうしたらお前を殺さない』
そんな雑な説明を受けて、私は地下街の広場のようなところにひとり、投げ出された。
どうやら私がここに来るとき下った階段は、地下街に通じる階段だったらしい。空が見えない真っ暗な感覚に違和感を覚えながらも、私はその茶髪の男を待つ。
…来なければ、いいのに。
来なければ、そんなことしなくていいのに。
しかしそんなことは夢物語に過ぎなかった。茶髪の男性は何やら紙を手に、広場にやって来た。
かなり身長が高い男性だ。力もある程度あるように見える。
ナイフを手に、走り出そうとしたとき。
あの時みたいに、足が動かなかった。
…私は生きるために、誰かの人生を奪おうとしてる｡勝手な理由で、私が堕ちるはずの運命に、この人を誘おうとしてるんだ。
私はナイフをおろした。
やっぱりこんなこと、正気じゃない。
もう、辞めよう。
そう思ったときだった。
また、あの血だらけの小柄な男性の姿が浮かぶ。
…嫌、ああなるのは、嫌！
「…おじさん」
自分の意思じゃなく、身体が勝手に動いていた。
私は茶髪の男性に話しかける。そうすると、その男は私に気がつき、子供の私の身長に合わせるようにしゃがんで目線を合わせた。
…来た。
「ぐぇ…」
しゃがんだ男性の首に、思い切りナイフを振り下ろした。そこに私の感情は何もない。
やらなきゃいけないこと、仕方のないことだった。そう言い聞かせた。
赤くなった辺りを呆然と見て、私は震えた。
これ、私がやったの…？
倒れた男と私の服についた赤を見ていると、どこからか拍手の音が聞こえ、あの男たちがやってきた。
『身長が届かないからしゃがませるとはな、
やるじゃねぇか』
『あぁ、認めてやるよ。俺たちの仲間としてな』
この人達は正気じゃない…。
いや、こんなことをした私も、正気じゃない。
その日、こうして”地下街の悪魔”は誕生した。
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作者名：みみみみみ | 作成日時：2022年9月20日 17時
