調査兵団の右翼と左翼【進撃の巨人】 (ページ48)

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◆※ ページ48

終わる度、涙を流して、死にたいと願った。

やがて彼奴らは、お仲間の憲兵までもに、私の身体を売っては、金を貰うようになりだした。

『”お客さん”には絶対に悪い態度取るんじゃねぇぞ、分かってるんだろうな』

何度もそう、髪の毛を掴まれて言われてきた。
”お客さん”とは憲兵の事だ。正義の味方を気取って裏ではそんな悪事を働いてる憲兵も、私を使って金を巻き上げ、贅沢な暮らしをする彼奴らにも、心底嫌気が差した。

でも、そんな絶望のどん底の私に少しだけ、光が差した出来事があった。

私が牢屋に閉じ込められて数年が経過し、私が殺した人数も3桁を越える頃…その子は来た。
私と同い年くらいの、可愛らしい金髪の女の子。
同じように目隠しや拘束をされて牢屋に入れられた女の子＿シエナと名乗ったその子は、私と同じように身寄りのなくなったところを、彼奴らに連れられて来たらしい。

不謹慎ながら、私は嬉しかった。
何せ会話をするのは久しぶりだったし、仲間さえいれば、私は何でも乗り越えられる気がした。

けれどシエナは…優しい子だった。
私みたいに、自らが生きるためなら他の者の自由を奪おうとなんてしない、優しい子だ。

その子は、『仕事』を達成出来ず、彼奴らに殺された。

私は心底汚い人間なのだと、その時に分かった。
生きることに貪欲で、もうすっかり人を殺すことに慣れている。
シエナは、私みたいに汚くない。綺麗な人間だから死んだ。

その時くらいに、私が”地下街の悪魔”と恐れられていることを知った。
まさに、私は悪魔だ。残酷で冷徹で、汚い悪魔。

その後も、身寄りのない女の子は何人か連れて来られたが、皆私の目の前で死んでいった。
それは、シエナのように仕事を達成出来なかったり、大男を相手にして力で負け、相手に殺されたり、様々だったが…。

私は幸か不幸か、強かった。
銃もナイフも扱えて、頭の回転も良かった。
そして何よりも生きることに貪欲な悪魔だから、5年間も生き延びたんだ。

けれどある日、仲良くやってきた憲兵と仲違いしているのを盗み聞いた。理由は簡単、『仕事』に対しての報酬が、あまりにも少ないという不満からだ。

私が生きることに貪欲なように、彼奴らはあまりにも金に貪欲に生きすぎた。

そして、私は何本かのナイフと、いつも使用してる銃を渡されて、最後の命令を下された。
”俺たちを守れ”、と。