調査兵団の右翼と左翼【進撃の巨人】 (ページ46)

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◆ ページ46

リヴァイさんのおかげでいくらか緊張が解けた。
…本当に私は、一体どれだけ彼に救われれば気が済むのだろう。

タイミング良く、ハンジさんを連れたエルヴィンさんが部屋に戻ってくる。2人とも入ってきた時は険しい顔をしていたが、先程より軽くなった私の表情を見て、2人とも気を柔らかくした。

私の隣にはリヴァイさんがいて、向かえにはエルヴィンさん、そしてその隣にハンジさんがいる。
私は皆の顔を見てから、ひとつ、深呼吸をして、話し始めた。

「…私の出身は、ウォール・シーナの内地…貴族の、レナルド一家でした。しかし、母が病に倒れ亡くなり、そのショックから父も自ら命を絶ちました。

…誰も助けてくれる人がいなかった私は、数日後外に出て、誰かに助けを求めようと考えました。
…ですが、誰も私には目もくれず…路頭に迷ううち私は、1人の男を取り囲んで暴力を振るう、3人組の男を、見かけてしまったんです。
それが私を5年間支配していた＿＿彼奴らでした。名前すら、結局知ることはありませんでしたが…。

そして当然のように目をつけられて、拘束された私は地下街の一角にある家の、牢屋のような場所に入れられました。
…ここまでは、皆さんもお知りかと思います」

エルヴィン「大雑把にだが…把握はしていた」

やはり室内には重く、暗い空気が落ちつつあった。
エルヴィンさんが頷いたのを見て、私は再び口を開く。

「牢屋に連れてこられた私は…暴力で言うことを聞かされ、死にたくないのなら人を殺せと…特に意味も分からないまま、私は初めて人を殺しました」

ここまでは、何の負荷もなく話すことが出来る、所謂”序章”に過ぎない…。
私が”地下街の悪魔”になってから、リヴァイさんに出会うまでの＿”空白の5年間”を、私は思い返す。

・

人を殺してしまった罪悪感に囚われる暇もないままに次の『仕事』はやって来た。

牢屋に入れられてからは数日間は毎日、『仕事』として人を殺していた。

大柄の男性から、新婚の夫、妊娠中の妻、老人…。
思い返せば切りなんてなかった。

そして徐々に、私の心は感情を失くしていった。
人を殺すことに抵抗を感じなくなった、…わけでは消してないが、コントロール出来るようになった。
なってしまった。

何も感じないままに人を殺し、牢屋にまた入れられて1人になってから、自身のやったことを思い出しては震え、吐き気が止まらなかった。