空白の5年間 ページ45
リヴァイさんと共に団長室に戻った私は、エルヴィンさんに兵団のためになるのであれば何でもする、という私の意向を伝えた。
エルヴィン「…そうか。君は勇敢だな。その覚悟のおかげで、救われる人が必ずいる。ありがとう」
エルヴィンさんは、そう私に優しく微笑みかけた。
エルヴィン「デノンが君の正体に勘づいてしまった以上、時間がない。A、さっそくだが…私たちに過去の出来事…何故”地下街の悪魔”になり、どういう事をされていたか…話してくれるか。それからリヴァイ、ハンジを呼んできてくれ。事情は話してあるから、手記を取らせる」
覚悟は決めたはずなのに、思い出そうとすると身体が震えて仕方なかった。
「…っ」
握った手が、ガタガタと震え出す。
その様子を見かねたリヴァイさんが、何やらエルヴィンさんに耳打ちをし、エルヴィンさんは頷いて、部屋を出ていった。
・
(リヴァイside)
「え…」
エルヴィンが突然出ていったことに目を丸くしたAがぽつりと呟く。
＿お前がハンジを呼びに行ってくれ。俺はその間になるべく、Aから恐怖心を取り除く。
そう、エルヴィンに耳打ちをした。
俺はソファに座ってるAの前に、膝まづいて顔を覗き込み、固く握りしめられてる手を握った。
リヴァイ「…A、聞いてくれ」
人に対して優しくするとか、そういう事には慣れていねぇし、よく分からない。
それでも、自分の気持ちを話してくれたAのように、なるべく気持ちが伝わるようにと願いながら語りかけた。
リヴァイ「俺は、お前の過去がどんなものなのかはまだ知らねぇが…お前が俺たちのために自らを犠牲にしてくれることを選んだ以上、俺も…俺達も、覚悟を決めている。…お前にどんな過去があろうと、受け入れる覚悟だ。
…人に話したくねぇような過去のひとつやふたつ、あることくらい分かってる。それでも話す覚悟をしたA、お前を、俺達は絶対に＿守り抜く。
だから、安心して話せ…というのも難しいかもしれんが、肩の力を抜いて話せ」
Aの固く握り締められていた拳に、段々とその空間にゆとりが出来ていくのを、触れていて感じた。
Aはもう片方の手で、Aの拳に触れてる俺の手に、自らの手を重ねる。
「…なに言ってるんですか。私は守られるためじゃなくて、守るために、覚悟を決めたんです。
…守られてばかりじゃ、嫌ですから」
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作者名：みみみみみ | 作成日時：2022年9月20日 17時
