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少し離れた、人通りの少ない廊下。そこまで来た時ようやく手を離し、私の方を振り返る。
リヴァイ「…お前に辛い選択をさせようとしていることは、俺もエルヴィンも重々承知している。…それも、お前のため何て出来た理由じゃなく、兵団に、俺達とってAがいる方がいいと、勝手な判断を下したからだ。…すまないと、思っている」
リヴァイさんは私よりもずっと辛そうに拳を握り締めながら、私に言った。
そしてその姿を見て、＿思い出す。
リヴァイさんが、私を救ってくれた事。地下街で初めて交わした会話。兵舎で私を強く導いてくれた言葉。
ふっと、胸の中の塊が溶けて消えた。私の中で、何かの覚悟が決まったのだ。
「…私、やります」
リヴァイさんは私の言葉に目を見開いたが、私自身はひどく軽く、清々しい気持ちだった。
「…あの時…地下街で出会ったあの時、私を殺してくれていたらどんなに楽だったことでしょう」
調査兵団に出会った事で、リヴァイさんに出会ってしまったせいで、元よりいた状況よりもっと複雑で残酷な場所に、身を置くことになったのだから。
「でも、…エルヴィンさんが私を率いれる判断を下してくれなかったら、リヴァイさんが私に手を差し伸べてくれなかったら、
…知ることのない感情が、たくさんありました」
人の温もり、絆、普通の生活を送れる幸せ。
私はもう、知ってしまったのだ。
「あの時私を救ってくれて…ありがとうございます。私はその恩返しが出来るなら…何でもします」
そう、リヴァイさんの苦しそうな姿を見て思った。
彼はずっと、私と出会ってから、私の事をとてつもなく想って行動をしてくれていた。その事を、私は思い出したのだ。
リヴァイさんは私と逃げ出さず正面から向き合ってくれた。だから私も彼を信頼することが出来た。
そしてエルヴィンさんも、私のことを、勘とは言え信頼してくれているから、リスクを侵してでも兵団で受け持ってくれると言ってるんだ。
私はこんなにも彼らに助けて貰ったのに、私の都合で逃げ出すなんてあり得ない。
「…本当に兵団にとって、私を抱えることが迷惑にならないのであれば、兵団の力になることが出来るのなら、の話です。間違っても、私のため何かにリスクを侵さないと約束してください」
私は彼の瞳を正面から見つめる。
やがて、リヴァイさんはふっと一瞬微笑んだ。
リヴァイ「…強いな」
初めて見る彼の優しげな笑顔に、私は目を見張った。
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作者名：みみみみみ | 作成日時：2022年9月20日 17時
