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(Aside)
デノン「なぁ新兵。お前、”地下街の悪魔”を知っているか？」
デノンさんの急な問いに、心臓がどくんと鳴った。
幸い、デノンさんは私の後ろにいるから、私の表情を窺うことは出来ないはず。
なるべく、冷静を装った声で私は答えた。
「…知っています。殺人鬼、ですよね」
デノン「そうだ。なら、こんなことも知っているか？”地下街の悪魔”は、ナイフの柄を中指、薬指、小指の3本だけで持つそうだ。…人差し指と親指では銃を持ってるかららしいが。
＿＿なぁ、新兵。お前も、さっき巨人を討伐した時…3本指で刃の柄を持っていなかったか？」
呼吸が、上手く出来ない。
視界が狭くなって、どこか他人事のようにデノンさんの話を聞いていた。
確かに私はちょっと前まで、ナイフと銃を同時に持って人を殺していた。でも、さっき含め刃を持つ時に3本指で持っているなんて、気が付かなかった。
…完全に癖になっていたとは。私は唇を噛む。
リヴァイ「…随分詳しいんだな」
助け船を出してくれたのは、リヴァイさんだ。
デノン「…片手間で、調べていたんです。”地下街の悪魔”の事について。
…いつかそいつに殺された、父親の仇を取るために」
今度こそ、視界が暗転した気がした。
手綱を持ってる手が震え、嫌な汗が背を流れる。
まさか…リヴァイさんが言っていた『父親を”地下街の悪魔”に殺された兵士』が、
…デノンさんだった、なんて。
デノン「刃の柄を3本指で握るなんてあまりにも珍しいから、まさかお前が”地下街の悪魔”なんじゃないかと思ったが…まさか、お前みたいなガキが人なんか、殺せるわけねぇよな？」
何か言わなきゃいけない。
震える唇を開くも、言うべき言葉が出てこない。
自白してしまった方がましだとすら、思った。私がした罪は、消えることがない。そしてデノンさんの心の中にある傷は、もっと消えることがない。
嘘だとしても、兵団のためだとしても、私に今否定する権利などあるわけがないのだ。
「私は…」
その時、リヴァイさんが信煙弾を撃った。
驚いて空を見ると、赤い信煙弾で信号が隣から流れてきている。通常種の巨人が出現したらしい。
リヴァイ「おい、ここはまだ壁外だぞ。…お喋りは無事に帰ってからにしろ」
何とか話がそれ、私達は前を向いて壁内に向かった。
ただ、今さら私自身の罪の重さを、実感した気がした。
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作者名：みみみみみ | 作成日時：2022年9月20日 17時
