調査兵団の右翼と左翼【進撃の巨人】 (ページ40)

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◆ ページ40

リヴァイ「…正気か」

兵舎に来て、震えてたAの姿を思い出す。
少し思い出しただけで過呼吸になっていたAに、牢屋で閉じ込められていた5年間を全て話し、挙げ句全兵士に”私は可哀想な人だ”と演説させるというのか。
＿全兵士に、自分がされてきた残虐非道な事を知られ、同情の目で見られながら兵舎で暮らせと。

エルヴィン「Aにとって、辛いことになるのは分かっている。一応、本人の意思も聞こう。
だが、長い目で見ればそれが最善だとお前も分かっているはずだ。…いずれAの正体がバレて、反乱が起きるよりずっといい。兵団にとっても、Aにとってもな」

エルヴィンの言ってることは、明らかに正論だ。
それが最善の選択なのだろう。Aがどんなに辛い思いをしても、Aひとりのために、さすがに兵団内で反乱が起きるようなリスクは侵せない。

リヴァイ「…了解した、エルヴィン」

・

壁内に向け出発するため、馬に股がって横目で後ろにいるAを確認する。

その目は、俺が最初地下街でAと出会った時の真っ黒で何も映っていない瞳だった。

…デノンとコットは、さっき何を話してた。どこまで勘づいた。
Aに何か諸事情があることは勘づかれても、今はただ、Aが”地下街の悪魔”だと勘づかれていなければそれでいい。最悪の事態にならなければ、それでいい。

エルヴィンの指示を受けて再び一斉に駆け出した兵士達は、ゆっくりと陣形を組んでいく。

しかし、数分馬で駆けた時、デノンが口を開いた。

デノン「なぁ新兵。お前、”地下街の悪魔”を知っているか？」