調査兵団の右翼と左翼【進撃の巨人】 (ページ34)

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◆ ページ34

エルヴィン「今日から調査兵団に入団し、次の壁外調査にも参加してもらうことになった、A・レナルドだ。彼女は調査兵団が内密に独自の特別訓練を受けた人物で、かなりの戦力になることが期待できる。本日から次の壁外に向けて全体訓練にも参加してもらう。」

エルヴィンさんの隣で大層な説明を受けた私は、様々な視線を向けられていた。
好奇、不信感、疑念。
居たたまれなくなって身を捩ると、隣にいるリヴァイさんがボソッと呟く。

リヴァイ「…堂々としていればいい」

その言葉で、私はひとつ深呼吸をして背筋を正す。
そして一歩前に出て、ここに来てから習った心臓を捧げる敬礼を見せた。
胸に当てる右手の奥で、心臓がどくどくと早鐘を打っているのが分かる。

「A・レナルドです。次の壁外調査は初めての参加となりますが、ご期待に添えるよう全力を尽くします」

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『独自の特別訓練って何なんだよ…あれ本当なのか？』
『そもそも、それを受けていたとしても次の壁外は数日後だぞ。…あり得ない』
『でも立体起動もそこそこ出来るらしいし、何せ刃の使い方が尋常じゃないって話らしいぞ』
『ふぅん、それで”あの”リヴァイ班なのか？』

自己紹介後、エルヴィンさんの考案した敵作陣形の全体訓練を終えると、兵士たちのひそひそ話が耳に入ってきた。
やはり、誤魔化すのは難しいらしい。

リヴァイ「浮かない顔だな。…下手なこと考えてると、壁外ではすぐ巨人に喰われるぞ」

「…すみません」

私は兵士たちのひそひそ話に耳を澄ませるのを止め、リヴァイさんの隣に並ぶ。
…そうだ、いよいよ数日後にはもう壁外調査。
巨人と対峙することには、驚くほどに緊張も恐怖を感じない。でももし何か変な言動を取れば…私への疑念はさらに深まる。

「リヴァイさんは初陣の時＿緊張しましたか？」

その問いに、彼は視線をそらし、思い出すように考え込んだ。

リヴァイ「いや…緊張はしていないが、慎重ではあったな。お前も、巨人を見るのは初めてだろ」

「はい。ハンジさんに詳しく説明されましたが…」

リヴァイ「…それは気の毒だったな」

壁外に出て、巨人と戦うなんて…1ヶ月前は想像もしていなかった。
調査兵団にとって私の存在が良くあるか悪くあるかは別として＿少なくとも私にとっては、良いことなのだろうと思う。

「…ありがとうございます」

小さく呟いた声は、彼に届いたのか届いてないのか。彼は私を1度だけ振り向き、歩き出した。