信頼 ページ19
(Aside)
調査兵団に来てから3日が経過した。
あの日から一定時間ごとにリヴァイさんは私の元へ顔を出して、食事を運び、体調を尋ねてきた。
私は言葉を発することはせず、ただずっとこうしてベッドに体育座りをしたまま、首を縦か横に振っていた。それでも彼は嫌な顔をせず、また来てくれる。
私は3日間ずっとこの体勢のままだ。
親切にされすぎると疑ってしまう、というのは愚かな人間だろうか。
暗い部屋で、ぎゅっと膝を抱きしめた時、いつものように3回ノックが聞こえた。
リヴァイ「…俺だ、入るぞ」
予想通りの客人に、私は返事をせず待つ。
そうすると自然に扉が開かれ、ここ数日何度も目にしてきた姿が入ってくる。
リヴァイ「…おい、そろそろ食え」
運んでくれている食事には、ここに来てから一切手をつけていなかった。
いつも通り運ばれてきたままの状態のパンとスープを見たリヴァイさんは、溜め息を吐いた。
「…何故、そこまで親切にしてくれるのですか」
私には、分からなかった。
会話は出来ず与えられたものにも手を出さない。身体の痣にも気づいた彼らは、私が健康体とは程遠く戦うに至るまでに時間を要するのに気づいている。
そんな足手まといの面倒な子供など、さっさと見捨ててしまえばいいものを。
リヴァイ「…お前の力は、調査兵団に必要だからだ」
その言葉を聞いて思う。
あぁ、やっぱり私の能力を保持したいがためにか。
やっぱり私は、死ぬまでここで戦い続けなければならないんだ。その理由が、彼奴らのためから人類のために移っただけ。
「…それは、人類のため、とかいうやつですか」
リヴァイ「…何が言いたい」
リヴァイさんは眉を潜めて聞いてくる。
「リヴァイさんは何のために戦ってるんですか？
…巨人を殺すことは、そんなにも楽しいことだったりするんでしょうか？」
私には分からなかった。
いつ巨人に食べられるか分からない状況下で尚、身を燃やし続けられることが。
自分の能力を、人類のためなんて漠然とした理由で兵団に捧げ続ける、覚悟を持てることが。
リヴァイ「…好き好んで巨人なんか殺さねぇよ」
その言葉に、ハッとする。
私の考えは甘かったのではないか。そんな後悔が押し寄せてくる。
そのくらい、彼の言葉は様々意味を孕んでいるように思えてならなかった。
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作者名：みみみみみ | 作成日時：2022年9月20日 17時
