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私は言葉を発しようとする。しかし、手が震え、内蔵がひゅっと浮き上がるように冷えていく。
全身から冷や汗が出て、頭の中で警鐘が鳴る。
呼吸が上手く出来ない。気持ち悪い。
思い出すのは、嫌なことばかりだ。忘れたい、おぞましい出来事の数々。
リヴァイ「…おい、」
焦ったような声が、どこからか聞こえた。誰の声だろうか。わからない。目が回って、自分がどこにいるのか、何をしてるのかも分からない。
リヴァイ「大丈夫か、しっかりしろ！
＿＿＿＿A！」
名前を呼ばれて、ハッとする。
そうだ、ここは調査兵団の兵舎。
「ご、ごめんなさい…」
…迷惑をかけてしまった。
今度は身体が別の意味で震え出す。
罰を受けて当然の事だ。何をされるだろうか。殴られるか、蹴られるか、あるいは＿。
癖から咄嗟に頭を守るが、特に目の前の男に行動の意思は見られなかった。
リヴァイ「…別に、気にしてねぇ。気分はどうだ」
その言葉に、拍子抜けする。
強張っていた身体が若干緩み、顔をあげた。
殴る蹴るどころか、気遣われた。
その状況に、何より戸惑っていた。
「あまり、よくありません…」
リヴァイ「だろうな。ハンジがもうすぐ食事を持ってくる。その時に一緒に薬を出してもらうといい」
「くすり…」
薬で私の意思を屈服させるのだろうか。もしくは、もっと違う恐ろしい事に使われるのか。
そんな想像を見抜いたのか、溜め息を吐かれる。
リヴァイ「あの奇行種は確かに変なやつだが、変な薬を盛るほどの異常性は今のところ見られない。
証拠などは何も出せねぇが…信用して貰って構わない」
外の人を信用するな、という言葉が甦る。
分かってる。彼奴らは私を地獄に陥れた本人達だ。
一般的に見れば調査兵団の方が明らかにまともで、信用できるのだろう。
ただ。
調査兵団だから、とかじゃない。
信用するのが、怖い…。
怖いことばっかりだ。弱いな、私は。
こんなにも気遣ってくれてる人に対して、信用すら出来ないなんて。
これじゃ自由には、程遠いだろう。
「……リヴァイ、さん」
兵舎に来る途中、教えてもらった彼の名を呼ぶ。
我ながら掠れた声だった。もう久しく会話などしていないからだ。
しかし、しっかり私の声を耳に入れてくれた。
リヴァイ「…何だ？」
信用する、という勇気はまだない。
今はまだ、名前を呼ぶことだけで許してはくれないだろうか。
この、弱い私を。
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作者名：みみみみみ | 作成日時：2022年9月20日 17時
