調査兵団 ページ12
(リヴァイside)
団長室の扉を3回ノックすると、中から「入れ」というエルヴィンの声が聞こえてくる。
中には、地下街の悪魔の後ろにいたという憲兵公認の殺人グループとやらの拘束に成功したハンジもいた。
エルヴィン「作戦は成功したようだな」
今回、他の兵士にも怪しまれないためにエルヴィンには本作戦には参加せず、団長室に座っていて貰った。
リヴァイ「あぁ。それで、どうするつもりだ。
今すぐにでも審議所から通達が来てもおかしくねぇ」
憲兵が大量に殺されたのだ。この事を隠しておけるわけもねぇし、その犯人を調査兵団に入れたとなれば、上は黙っちゃいないだろう。
エルヴィン「手は打った。私も、黙ってここに座っていたわけではないからな。
中央の奴らと取り引を行った。中央の今までしてきた行為を黙っておいてあげる代わりに、今回ハンジ達が捕らえてくれたあの3人組の男を”地下街の悪魔”に仕立て上げて処刑する、と約束してくれた」
どうやら本当に座っていただけではないらしい。
ハンジ「それで、その子はどうなの？」
リヴァイ「…だんまりだ。名前すら教えてくれる気はないらしい」
最初に見た時は、何も映ってない暗黒みたいな目だった。だが、殺してと泣いた時、自由になれるかと俺に問うた時は、年相応の泣き面だった。
だが兵舎に連れてきてからはまた、その暗黒みたいな目に戻り、一切言葉を発しなくなった。
空き部屋に連れていってからもそうだ。まるで何かに怯えているように、ベッドの上で膝を抱えて座っていた。
リヴァイ「エルヴィン、身辺調査の結果はまだか」
エルヴィン「いや、届いている。先にこっちを見せるべきだったな」
エルヴィンから受け取った1枚の資料に、ハンジと目を通していく。
ハンジ「A・レナルド…。レナルドって、あのレナルド家のこと？」
エルヴィン「そうだ。5年前、両親が亡くなってるらしい」
確かにエルヴィンの言う通り、5年前にAは両親を亡くしていた。
シーナ出身の貴族令嬢が、両親を亡くし、何らかの事件から男達に拐われ、殺し屋をやらされていた。
と。
ハンジ「何というか、これは…
気の毒、だ、…物凄く」
そうとしか言い表しようがねぇと、俺も思う。
自由になれますか。そう聞いたAの顔が、脳裏に浮かんで消えた。
俺はひとつ舌打ちをして、団長室を飛び出した。
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作者名：みみみみみ | 作成日時：2022年9月20日 17時
