調査兵団の右翼と左翼＿season2【進撃の巨人】 (ページ41)

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◆ ページ41

気が、重かった。
3日後にヴィドがこちらへ来るということは、彼らにも先程の出来事を話さなければならない。

帰りの馬車、ハンジさんとエルヴィンさんの憲兵への愚痴を聞き流しながら、胸にある黒い塊をただ感じていた。

＿＿あの場で、説得したかった。
私は調査兵団として生きていくことに悔いはないのだと。私の事は気にかけなくて大丈夫なのだと、私は説得するべきだったのに。

皆が身を粉にして訓練に励んでいるというのに、私だけシーナで優雅な暮らしをしないか、何て言う提案がされているなんて。

申し訳なさと、罪悪感と、後ろめたさが入り交じったような気持ちの悪い黒く、重たい感情。

ハンジ「ね？A」

「え？あ、はい」

何か同意を求められたらしいハンジさんの聞きように、流れで温い返事をしてしまう。

ぼぅっとしている内にいつの間にか兵舎について、私は逃げるように自室に籠った。今日は色々なことがありすぎた。寝て、忘れてしまいたい。

カーテンを開けて、窓の外にある月を眺める。

…ヴィドとは、習い事の教室がほとんど一緒だった。

習い事も勉強も、成績があまり良くはない私と、いつも成績優秀で先生や両親に誉められてばかりだったヴィドが一緒にいるのは、よく面白がられた。

でもそんな奴らにヴィドは、「何がおかしいの？」と言えるような純粋でいいこだった。そして私に、勉強や習い事のコツを教えてくれた。

正直、そんなヴィドが私のことを好きだっただなんて、考えられない。ただ、成績や身分を気にしないくらい、やはり彼はいい人なのだろう。

でも＿＿＿＿。

地下街で出会ったあの瞬間が、脳裏で再生される。
はためく自由の翼。真っ直ぐな瞳。

胸の黒い塊を吐き出すように、息を吐く。

今日はもう考えるのはやめよう。説明する内容も、後々また考えればいいではないか。

私はゆっくりと、目を閉じた。