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そんなはずがないと、言いきれない自分が悔しい。
私はただ自由な彼らに憧れただけだったというのだろうか。自分が、不自由だったばかりに。
黙りこくった私を見て、ヴィドは困ったように眉を寄せた。
ヴィド「ごめん、困らせたいわけじゃないんだ。
ただずっと＿＿＿＿君が好きだった」
その言葉に目を見開いて彼を見る。ヴィドの真っ赤な顔で、その言葉が真実を語っていることが分かった。
ヴィド「ずっと、気になっていたんだ。…君がどうなったのか。両親を失って、ひとりで泣いていないか。…今日再会して、綺麗になった君を見て、やっぱり俺は君のことが好きだと思ったよ。
だから、君が傷つくのは見てられない。
急な話だけど…簡単に言えば、結婚、してほしい」
私は思わずたたらを踏んだ。あまりにも急激な展開に頭がパンクしたのだ。何故、こうなってしまう。考えることが多すぎて目眩がした。
「ヴィド、貴方の気持ちは嬉しいけれど、私は」
ヴィド「返事は今すぐじゃなくて、…考えてから、出してみてほしいんだ。俺は本気だから。家の跡取りは俺ひとりしかいないし、君を幸せに出来るお金ならいくらでも出す。幸せをいくらでもあげる。…だからどうか、お願いだ」
純粋な好意を向けられるのは、嬉しかった。
きっと貴族のときにそう言われていたならば、私も喜んでOKしただろう。ヴィドは私なんかにはもったいないくらい条件の揃った良い人だ。性格も、容姿も、家柄も。
でも＿＿＿。
「…返事は、変わらないと思うけれど」
ヴィド「それでもいい。…少しでも頭の中を、俺で染められるのなら。
＿＿3日後、答えを聞きに行くよ」
・
城の中に戻った時にはもう、懇親会は終盤に差し掛かっていた。
すっかり出し物のワインで酔い、目が赤くなっているハンジさんと、来る前より若干ネクタイを緩ませたリヴァイさんが私を見て驚いていた。
リヴァイ「…随分お疲れの様子だな」
ハンジ「A、なんか窶れた？」
何となくさっきの出来事から2人の顔を直視できず、つい不自然に目をそらしてしまった。
私の様子のおかしさに気がついたリヴァイさんが眉間に皺を寄せる。
ハンジ「…まぁ、もうそろ懇親会もお開きだ。兵舎に戻って、またゆっくりすればいいさ」
助け船を出してくれたハンジさんが、私の肩に腕を回して「ね？」と微笑む。私も曖昧な笑顔を浮かべて「はい」と答えた。
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作者名：みみみみみ | 作成日時：2022年9月29日 19時
