◆ ページ14
(リヴァイside)
事態は深刻化したのか、あるいはコットがああ言ってくれたことで簡単になったのか＿分からねぇがとにかくより複雑になったのは間違いない。
ハンジ「あそこまで派手に文書を置かれていたんだから、他の兵士すべての疑念を取り除くことはもう不可能…さらに、コットの兵役違反を他の人に説明する、という役割まで増えた始末だ。
…どうする、エルヴィン」
本当は壁外調査の次の日で、やらなきゃいけない事も山積みだしそもそも身体も頭もついてはいかねぇが＿時間がない。先送りにするわけにはいかない。
俺達はまたもや、振り出しに戻った。Aの事をどう説明するかばかり考えている。
エルヴィン「…やはり、正直に伝えるしかないだろうな。Aの正体、そしてコットが被害者という事まで」
ハンジ「＿デノンは親族が殺されていたから分かったが、コットは婚約状態でまだ姓が違ったから、身辺調査書のみでは分からなかった…。リヴァイ、そういう話ししてるところは聞いたことあった？」
リヴァイ「いいや、ない。あいつはそもそもあんまり自分のことをペラペラと喋るような奴じゃねぇ」
俺はため息を吐いて、Aの部屋の方を見やる。
デノンは恐らくもうAに何かを加えるほどの敵意はないはずだと思ってAの身を託したが。
ハンジ「しかし…兵舎に来てあんなにも震えていたAが、あんな怪我を負った状態で自らを呈してまで私達を守ろうとする勇敢な子とは…。エルヴィン、これも君の読みかい？」
エルヴィン「いいや。私が見込んだのは彼女のナイフと銃の腕前だけだ。実際、あんな子供が”地下街の悪魔”だとは思ってもみなかった上、そんな過去があったなんてな。
Aがあんな行動を取ったのは誰でもない彼女自身が変わったおかげであり、変えるきっかけを与えたのは＿＿リヴァイ、君だろうな」
エルヴィンとハンジの視線が俺に向く。
リヴァイ「…違ぇよ、Aが変われたのはあいつ自身が勇気を出したからだろうが。
それより…お喋りしてる暇はねぇんじゃないのか」
エルヴィン「あぁ、そうだな」
エルヴィンは意味ありげに唇を少しだけ吊り上げて俺たちふたりを見た。
リヴァイ「…何だ、考えでもあるのか」
エルヴィン「そうだな。いつもの＿博打、と言いたいところではあるが。
今回の事で出来た、Aとの信頼と実績から、ということになるかもしれないな。
＿＿リヴァイ、ハンジ。
明日の朝、兵士を集めてくれ」
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作者名：みみみみみ | 作成日時：2022年9月29日 19時
