7 夏服。2 ページ7
…
ツカツカ歩いてくる真希ちゃん。
「ま、まままま待ってください真希ちゃん近い、近ッ」
ふわ、と何かを上からかけられる。
真希ちゃんが吹き飛ばされていたら……と咄嗟につむった目を恐る恐る開く。
「それでも巻いとけ。後でもう1回注文し直せ」
ふ、と大人っぽい笑みを浮かべながらそう言って、彼女はいつも使うパーカーを私にかけて「腰に巻きな」
と言ってくれた。
「あ、ありがとう……真希ちゃん」
「どーいたしまして」
笑顔でそう言われると、キュンときてしまう。かっこいい! 私も真希ちゃんみたいなカッコいい女の子になろう、と決めた日だった。
「ちゃんと洗って返すね」
「いーよ、やる。新しいの来るまで使ってな」
気休め程度だけどな、なんて言いながらちょっと恥ずかしそうにしてる真希ちゃんが可愛くて、思わずえへへとだらしない声が零れた。
❁❁❁
「はい、じゃあ実技訓練、始め〜!」
その声に一斉にみんなが構える。
私の術式は『木霊』という。
これは私に触れようという意思があるもの全てを弾いてしまう、言わば結界のようなものが常に張っている状態だ。
「Aちゃん。あーそーぼー」
「いいよ〜」
そう言って小さな頃、女の子が私に手を差し出してくれたことがあったっけ。
手を取ろうとすると、バチンッと大きな電気が流れるような音がして、痛みとともに目を開けると女の子は目の前から消えていた。
──遠くに吹き飛ばされていたのだ。
こちらから触れようとした場合も同じように発動してしまう。そんなこと知らなくて、しばらくその場から動けなかった。
私は怖くて怖くて、泣きながら大人の人を呼んだ。
触れることも、抱え起こすことも私にはできなくて、泣きながら遠くで謝る私に、彼女はなんて言ったんだったっけな。
「──お化けだ、Aちゃんは化け物だ!」
ああ、本当にその通りだ。
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みみず2(プロフ) - なおこちらのコメントは後日削除させていただきますので、必要であればお控えくださいますようお願いしますm(_ _)m (2022年4月26日 6時) (レス) id: c96996a763 (このIDを非表示/違反報告)
みさにゃん(プロフ) - 途中でも読みたいので教えてください❗ (2022年4月26日 0時) (レス) id: 261ab17a8b (このIDを非表示/違反報告)
みさにゃん(プロフ) - 大丈夫です。 (2022年4月26日 0時) (レス) id: 261ab17a8b (このIDを非表示/違反報告)
みみず2(プロフ) - みさにゃんさん» コメントありがとうございます。2作目の方が作品途中で更新停止してしまっていますがよろしいでしょうか? (2022年4月25日 2時) (レス) id: c96996a763 (このIDを非表示/違反報告)
みさにゃん(プロフ) - 素敵な作品ありがとうございます❗ パスワードを教えていただきたいです。 (2022年4月24日 18時) (レス) @page48 id: 261ab17a8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みみず2 | 作成日時:2021年2月23日 21時