17 お菓子少女の夏休み。 ページ17
…
もうすぐ8月になる。暑さはとっくに本格化していて、夏服でも暑い。そんな天気の中で楽しそうにこちらに駆け寄るAの姿を、真希は見つけた。
「真希ちゃん真希ちゃん、これどうぞ!」
にこにこと笑顔で可愛らしいラッピングの施されたお菓子を受け取る。
「また作ったのか?」
「うん! 楽しくって」
あのお菓子初挑戦の日から数日。Aは見事にどっぷりお菓子作りにハマっていた。課題やら任務やらがない日はだいたい作っている。なんなら任務終わりに作っていることもある。
「どんどん腕上げてて怖いな」
そりゃあ毎日作ってりゃ上手くなるか、とパンダが零すと、狗巻もこくんと頷いて「しゃけ」と一言。
今回作ったのはカップケーキだそう。ただ彼女はとにかく不器用で、細かいアイシングなどはできないようだった。
こうやって見てると、本当に2人目の妹なのではないかと錯覚してしまう。
それくらい彼女は少し、幼いところがある。──かと思えば、訓練や授業ではやたらと大人っぽいことを言ったり、大人びた仕草をしたり。どっちかにしてくれ。
「んで、Aはなんでそんな張り切ってるんだ?」
パンダが尋ねると、よくぞ聞いてくれましたとばかりにAは胸を張る。
「バレンタインって行事があって、好きな人とか、悪戯しそうな人にプレゼントとかお菓子を配るんだって!」
ちなみに私は見ての通りお菓子を配るつもりだ! と親指でグッドサインをバチバチに決める。
「待て待て色々混ざってる」
すかさず真希とパンダが突っ込む。
「高菜?」
狗巻は、Aに自信満々にそう言われて逆にこんがらがっている様子。
「バレンタインは2月だし、悪戯の代わりに渡すのはハロウィンで10月の末だ。プレゼントを渡すのはクリスマスな。──どれもまだまだ先だよ」
あれ? と不思議そうに首を傾げるAに2人は同時にため息をついた。これだから世間知らずのお嬢サマは。
流石にここまでごちゃごちゃなのは初めて聞いた。
「じゃあ五条先生が言ってたのは?」
「アイツは何吹き込んだんだ……」
「それはまた今度シバくとして。いま3人でどっか出かけねーかって話してたんだよ」
パンダが本題を持ち直す。真希もああそうだと思い出したように座り直して、こっちにこいよとAに合図した。
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みみず2(プロフ) - なおこちらのコメントは後日削除させていただきますので、必要であればお控えくださいますようお願いしますm(_ _)m (2022年4月26日 6時) (レス) id: c96996a763 (このIDを非表示/違反報告)
みさにゃん(プロフ) - 途中でも読みたいので教えてください❗ (2022年4月26日 0時) (レス) id: 261ab17a8b (このIDを非表示/違反報告)
みさにゃん(プロフ) - 大丈夫です。 (2022年4月26日 0時) (レス) id: 261ab17a8b (このIDを非表示/違反報告)
みみず2(プロフ) - みさにゃんさん» コメントありがとうございます。2作目の方が作品途中で更新停止してしまっていますがよろしいでしょうか? (2022年4月25日 2時) (レス) id: c96996a763 (このIDを非表示/違反報告)
みさにゃん(プロフ) - 素敵な作品ありがとうございます❗ パスワードを教えていただきたいです。 (2022年4月24日 18時) (レス) @page48 id: 261ab17a8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みみず2 | 作成日時:2021年2月23日 21時