茨の君に最上の呪いを【狗巻棘】

34 お見舞い ページ34

…






ふと目が覚める。当たりは真っ暗なので、もう夜になってしまったのだろう。



｢うわぁまっくらだなぁ｣



何でこんな時期に風邪なんか引いてしまったんだろう。考えても仕方ないことだが、Aには心当たりがひとつもなかった。

おかしいなぁなんて呟いて、もう一度布団をかぶり直す。



残念ながら彼女にそこらの知識はない。家入先生に助けてもらう他ないけれど、生憎医務室まで行く体力はない。


寝れば治るかなと思ったけれど、1度起きてしまうと体が不調をこれでもかと言うほど主張してきて寝苦しい。



｢んー……しんど……｣



咳も頭痛もひどい。とても立っていられない。


ご飯も無理だと判断して、とりあえず一時的にでも治まったら家入先生の所へ行かなきゃ。


なんて考えながらも、寝られないのでぼーっと真っ暗な天井を見続ける。




すると、こんこん、と控えめなノックの音が聞こえてきた。

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