茨の君に最上の呪いを【狗巻棘】

31 映画鑑賞会。 ページ31

…







｢あれ！ もう終わっちゃったね！｣
レンタル袋の中身がなくなったのを見て驚く。



｢そりゃあ朝からぶっ続けで見てりゃあなぁ｣

パンダくんの声に一日？と時計を見ると、もう6時になろうとしていた。


｢ほんとだ？！ いつの間に！｣
でも楽しいねぇなんて隣の真希ちゃんを見ると、だいぶ疲れた顔をしていた。あれ？

酷く驚いていると、｢ツナツナ、｣なんて棘くんに声をかけられた。

｢いくら？｣
そう言って出てきたのはゾンビが出てくるあの怖すぎる映画。

｢ご、ごめん狗巻くん……今の私はそれを皆とは見れないかな……｣
申し訳ない、がすごく無理だ。絶対むり、絶ッっ対無理。

｢おかか……？｣

膝立ちしている私と座っている狗巻くんだと、狗巻くんのほうが小さくなっちゃうのは当然で。

上目遣いにダメ？なんて可愛いことするのは反則だと思う。どういうこと。


｢うっっぐごめん……でもほら、皆のこと、吹き飛ばしちゃうから……｣


今回ばかりはこんな面倒な呪力でも持っててよかったと一瞬思う。

｢しゃけ……｣
なんて可哀想になるくらいしょんぼりする狗巻くん。そんなにホラー映画好きなの……？


｢わ、わかった狗巻くん、あの、もうちょっとだけ待ってて欲しいな！ ちゃんと呪力抑え込めるようになったら、いっぱいそういうの見よう！ ね！？｣



そう言うと、｢こんぶ……？｣と再確認するように問うので、｢う、うん、きっと｣なんて約束してしまった。


でもきっと、皆の怖がってる姿も見れるんじゃないかな〜なんて、ホラー映画なんか見たことない私はぼんやり考えていたわけだけれど。

そう、呪力操作の映画もアクションが限界(呪力ぶっ放しちゃう)なのでホラーを見た事がないのだ。





ホラー映画が死ぬほど恐ろしいものだったと気づくのは、もっとずっと先の話。

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