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6話 血塗られた都 ページ7

かつて栄えていたであろう廃都は赤黒い粉々とした血がこびりついている。最初は『そういう色』だと少しばかり思っていたが、その考えは次第に薄れていった。

「なに…これ…」
骨や肉片、脳漿や目玉は腐れ果てそこに佇むのみ。グルルと咆哮があちこちから聞こえてくる。そこに魔獣以外の生命は一切感じない。
ミリター帝国は既に終幕を迎えていた。
「うぷっ……………」
「そんな………………………ここはもう…………」
「まっ、まだだよ!まだ生存者がきっと………!!」
「アクア………俺達ができる事は…もう何も…」
キチはアクアを慈しむ目で見つめる。
「まだ救える命がいるかもしれないだろッ!!!」
「アクアさん!魔獣が来ます!」
気付けば彼女の声に反応した魔獣がうじゃうじゃと辺りを動き回っている。
「皆…協力してくれ………僕の……………僕の……」
アクアは弓を構える。それに釣られ他のメンバーも佩用している武器を手に取る。
言葉は交わさずとも皆考える事は同じだったのだろう。

「正義の為に!!!」
涎を垂らし飛びかかる魔獣。しかし直ぐ様撃たれた清き水の矢は喉を捉え、獣の口からは
「こひゅ」と声なき声が漏れる。1秒前まで生きていたものは静かに地面に体を預けた。
「アクアさんは変わらないです…ねっ!」
心臓を一刺し。人型の魔獣も血を撒き散らし塵や土に変わっていく。
「止まれ!」
綺麗な色をしていたであろう血で染まった石畳の間から強い生命力の植物を生やし、彼らの手足に絡みついて動きを制限した。
魔獣たちの視界にひらひらと入ってきた文字の書かれた紙。
「アドレビートクエッド!!」
背の高い男の詠唱で蔦もろとも魔獣は一瞬で消し炭に変わる。
「皆怪我はない?」
「大丈夫、無傷だよ」
「早く生存者を探さなきゃ!」
と油断した時だった。

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設定タグ:オリジナル , ミミック , NeidAngel   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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作者名:ミミック | 作者ホームページ:https://twitter.com/neidangel  
作成日時:2018年8月4日 21時

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