幼馴染み 健永ツアー編 ２ ページ39
Aside
小さく溜め息をついた健永は、隣に座る私の肩を抱き寄せた。
「・・・何か有った？」
健永の肩に頭を預け、私は溜め息の理由を聞いてみた。
健永「・・・何も・・・何も無いよ。」
私の問い掛けに、そう言って困った様に笑った。
「そう？・・・それなら良いけど・・・。」
きっと健永の心の中に、何かが在るんだと分かっていても、今は何も聞かないでいようと思った。
だから私は、
「明日は、何時に起きれば大丈夫？」
そう敢えて、何時も通りに聞いてみた。
すると健永も、
健永「８時に起きれば、大丈夫。」
そう何時も通りに、答てくれた。
本当は健永の本心を聞いてみたいけど、健永が自分から話してくれるのを、私は待つことにした。
「疲れているでしょ。そろそろ休む？」
私はそう言って、健永に声を掛けた。
健永「そうだね、そろそろ寝ようか。
・・・ねぇA、眠くないなら・・・少しベッドで話をしない？」
そう言うと健永は、ソファーから立ち上がり、私の手を引いて寝室に向かった。
本当は朝食の準備をしたかったけど、珍しい健永からのお誘いに、私は素直に手を引かれ、ベッドで並んで横になった。
何時もと違う健永の様子に、やっぱり心配する気持ちが溢れてくる。
「・・・ねぇ健永。
・・・何か心配事でも有るの？」
私が、健永を見つめてそう言うと、
彼は、少し困った様に笑った。
健永「・・・他のメンバーは、自分の方向性をどんどん見付けていくのに、俺は自分がどうすれば良いのか、まだ分からないんだ。」
そう言うと、健永は静かに目を伏せた。
何となく分かってた、健永が焦っている事。
だから私は、
"きっと見付かるから、心配しなくても大丈夫。"
そう声を掛けてあげたかった。
でも健永が求めている答えは、それとは違うと分かっているから、私はただ黙って健永の左手を、両手で包み込んだ。
すると健永は私の気持ちを察したのか、私を見つめて、
健永「有り難うA。
・・・焦っても答えは出ないね。」
そう言うと、健永はゆっくりとした動作で、自分の左手を私の右手に繋いだ。
健永「今日はこのまま、Aと手を繋いで寝ても良い？」
そう言って、ニッコリと笑顔を向ける健永の可愛いお願いを、私は素直に受け入れた。
そして、そのまま健永と私は眠りについた。
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作者名：紅廉 | 作成日時：2018年11月20日 20時
