幼馴染み 高嗣ツアー編 5 ページ33
Aside
私の"忘れないで"と言う言葉に、
高嗣「バカだな、忘れるわけ無いだろ。」
高嗣は、そう言ってくれた。
「有り難う。」
素直にそう答えると、
高嗣「だって"自分から忘れないで。"って言うような面倒臭いヤツを・・・いくら俺でも、忘れたりしないだろ。」
そう言うと高嗣は、抱き締めていた腕をほどいて立ち上がった。
そしてトコトコと冷蔵庫に向かうと、冷えたお茶を出し、グラスに注ぎ一気に飲み干した。
照れ屋の高嗣だから、きっと自分の言った言葉に、恥ずかしくなったんだと思う。
「ごめんね、図々しくて。」
高嗣の気持ちは分かっているつもりだけど、そう言って私は立ち上がり、高嗣に背を向けた。
高嗣「別に謝んなくて良いよ。
Aが図々しいのは、小さい頃から知ってるから。」
尚も憎まれ口をきく高嗣は、何事も無かったようにグラスを置いてソファーに座り、携帯をいじりだした。
高嗣の様子に、私は大きく溜め息を付いた。
そして、
「忙しいそうだから、先に寝るね。」
一言そう言うと、寝室に向かう為にリビングのドアノブに手を掛けた。
高嗣「えっ・・・」
高嗣の声に、振り向く私。
私の態度に一瞬驚いた高嗣だったが、私の顔を見詰めると、
高嗣「・・・お休み。」
一言そう言って、再び携帯に目をやった。
引き留めてくれると思っていた私は、高嗣の態度に、
「お休みなさい。」
そう声を掛けて、バタンと勢い良くドアを閉めた。
寝室に入りベッドに横になると、頭まで布団を被り目を閉じた。
暫く目を閉じていたけど、なかなか眠れない。
高嗣が今忙しい事も、私の事も気に掛けてくれている事も、照れ屋な事もちゃんと分かっている。
そして私の我が儘をだと言う事も、十分に分かっている。
そんな事を考えていると、涙が勝手に溢れてきた。
「何でこんなに、高嗣の事が大好きなんだろう。」
高嗣が"面倒臭い女"が嫌いな事も知ってるし、私自身も"面倒臭い女"には、なりたくなかった。
「拗らせ過ぎて、メンヘラじゃん。」
思わず自分の口から出た言葉に、涙が溢れた。
情けなくて私はベッドにうつ伏せになり、声を殺して泣き出した。
その時"ガチャリ"と、寝室のドアの開く音がした。
その音に私は、慌てて眠った振りをした。
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作者名:紅廉 | 作成日時:2018年11月20日 20時