幼馴染み 宏光編 8 ページ8
宏光side
Aと付き合い始めて三年。
テレビの露出も増え、お陰様でライブや舞台、バラエティーの収録と忙しくさせて貰っている。
それとは反比例する様に、Aと会える時間はどんどん減っていく。
少しでも声が聞きたくて電話をしても、タイミングが悪く反って不安にさせてしまったりする。
Aが俺に時間を合わせようと、自分の予定を入れなくなった事も分かってる。
本当は、そんな事させたく無い。
だけどそうでもしないと、二人の時間が作れないのも事実だ。
だからズルい俺は、Aに何も言わない。
俺だって出来るなら、ずっと一緒に居たい。
でも今の状況では、それは出来ない。
今の俺達キスマイは、微妙な立場にあって、何時足元を掬われるか分からない状況だ。
Aにその事を話した事は無いけど、色々な所から情報が入って来る世の中で、何かを感じて心配してくれているのが良く分かる。
それでもAは、何も聞かないし、何も求めない。
だけど俺達の年齢になると、周りが放っておいてくれない。
俺でさえ母ちゃんに、Aとの事を聞かれるのに、"Aは色々言われているんだろうな"と思う。
きっとAのおじさんやおばさんも、心配している筈だ。
なのに俺の仕事を理解してくれているのか、Aが上手く言ってくれているのか分からないが、俺にはそんな素振りは一切見せない。
そんな時、突然美樹ちゃんから"同窓会"の連絡があった。
何でAが、俺に言ってくれなかったのか考えていると、あの日の事を思い出した。
前回同窓会に行ったAを責めた様に感じ、気まずそうに"ごめんね"と、呟いた彼女の顔を思い出した。
宏光「そんなつもりじゃないよ。」
そう言うとニッコリ笑ってくれたけど、ずっと気にしていたんだ。
宏光「俺、アイツに我慢させてばかりじゃん。」
改めて口に出してみると、情けなくなった。
だから今出来る範囲で、想いを伝える事にした。
取り敢えず美樹ちゃんと亮太に、協力して貰う事にした。
お陰でサプライズは、見事に成功。
涙でぐちゃぐちゃのAが、愛しくて仕方なかった。
今の俺じゃ、これが精一杯。
だけど彼奴等の前で誓った約束は、絶対に守る。
想いを込めて、Aを見つめる。
宏光「ごめん、もう少し待ってくれ。必ず幸せにするから。」
俺はもう一度、Aだけに誓った。
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作者名:紅廉 | 作成日時:2017年8月25日 1時