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幼馴染み 俊哉編 2 ページ31

Asaid


俊哉「A・・・Aちゃん。」




寝室のドアの前で、俊くんが私の名前を呼んでいる。




別に鍵なんか付いて無いんだけど、俊くんは律儀に入って来ない。




こういう所が俊くんの良い所で、私の好きな所。




無理強いはしない。




俊哉「Aごめん。入って良い?」




「・・・」




俊哉「返事が無いなら入るけど。」




「・・・」




俊哉「ごめん、入るね。」




俊哉「入りま〜す。」




此処は俊くんの家なのに、何処までも優しい俊くん。




真っ暗な部屋の明かりを付けて、ベッドにうつ伏せの私の隣に腰を降ろすと、




俊哉「Aごめんね。」




「・・・」




優しく声を掛けてくれる。




それでも何も言わない私に、




俊哉「A怒ってる?
・・・ごめん。Aでしか、こんな事出来ないからさ。」




そう言いながら、優しく私の髪を撫でてくれる。




本気で怒っている訳じゃない。




きっと俊くんは、私が本気じゃ無い事も分かってくれている。




だから分かっていて、私の反応を楽しんでいる俊くんに"悔しい"って、思ってしまう。




俊哉「ねぇ、ごめんてば。




「・・・」




俊哉「本当に悪いと思ってるから、機嫌直してよ。
あっ・・・じゃあAの言う事を一つ聞くから、許してくれない?」




本当はこのまま俊くんに、ずっと撫でていて欲しいけど、何だか申し訳なくなって、




「絶対・・・絶対聞いてくれる?」




顔を上げずにそう言うと、一瞬俊くんが言葉に詰まる。




俊哉「・・・絶対って・・・。
うん、頑張ってみるから言ってみて。」




少し戸惑っている俊くんに、




「来週は絶対1位を取って。」




私は顔を上げずに言った。




来週分の収録は済んでいるから、結果はもう出ている。




俊哉「マイフェチは、1位だったよ。」




来週の事に触れない俊くんの態度で、1位じゃない事は分かってしまった。




「でも、完璧な1位じゃ無かったよね。」




"ちょっと意地悪だったかな?"




俊哉「でも、テーマをくれた二人にさえ正解が分からないんだから、1位で良くない?
それに一応、1位は1位だし。」




私を一生懸命に納得させようとしている俊くんが可愛いから、許してあげようと思った。




ゆっくり起き上がった私を見て、ほっとしている俊くんはやっぱり可愛い。

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作者名:紅廉 | 作成日時:2017年8月25日 1時

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