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幼馴染み 太輔編 12 ページ28

太輔side


春菜からの電話で聞いたAの様子は、ストレス等による睡眠不足からくる目眩で、一時的な物だと教えてられた。




春菜「Aは不安だったんだと思う。
仕事だと分かっていても、本当は私じゃなくて、相手役の人が好きなんじゃないかって。
私を気遣って、無理してるんじゃないかって。」




太輔「Aがそう言ったの?」




春菜が何かを知っている様な気がして、聞いてみた。




春菜「Aは何も言わないよ。
だけど、私には分かるの。」




太輔「・・・どういう事?」




一瞬、春菜は戸惑う表情を見せた。




春菜「太輔の事が好きだから・・・太輔に迷惑を掛けたくないから。
だって・・・自分の存在が太輔の足枷になるなんて・・・耐えられない。
だって私達は一生懸命頑張っている太輔を、誰よりも傍で見ていたから。だから・・・。」




春菜は未だ、俺にその気持ち伝えるのに躊躇しているのか、言葉に詰まった。




きっとこんな事が無ければ、一生伝えるつもりは無かったんだろう。




太輔「ごめんな、春菜。辛い想いをさせて。」




春菜が俺にも話さず、心の中に閉まっていた想い。




あの頃、気付いてやれなかった。




・・・そして今度も。




春菜「太輔が、謝る事じゃ無いよ。それに・・・もう終わった事だし。
其れより、Aを助けてあげて。あの娘は、色々と考え過ぎる所が有るから・・・あっ、Aが戻って来たから切るね。」




春菜との電話が切れて、俺は改めて今までのAの行動を、思い返していた。




不自然だった彼女の行動が、全て俺の為だったと気付いてしまえば、尚更愛しくて仕方無かった。




少しでも早くAに会いたくて、仕事終わりの渉の約束は、事情を話して後日にして貰った。




渉は、詳し事を聞きたそうにしていたけど、




渉「Aちゃん、大丈夫なの?」




太輔「春菜が、病院に連れて行ってくれてる。
少し休んだら帰れるらしい。」




渉「・・・そうか。
太輔、直ぐにAちゃんの所に行ってあげなよ。
俺との約束は、今度で良いから。」




太輔「有り難う、渉。」




渉はそれ以上は聞かず、俺を送り出してくれた。




何時もはマネージャーに送迎をしてもらう事が多いけど、今日に限っては渉と約束をしていたから、たまたま自分の車で来ていた。




俺は車に乗り込むと、焦る気持ちを必死に抑え、Aの家の駐車場で、彼女の帰りを待っ事にした。

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作者名:紅廉 | 作成日時:2017年8月25日 1時

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