私の幼馴染みその後 (ページ20)

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幼馴染み太輔編４ページ20

Aside

私の頭を撫でながら、

太輔「なぁA、心配な事が有るなら、俺に話してよ。
一人で抱え込まれたら、彼氏の俺は必要無くなるだろ。そんなの淋しいよ。」

優しい太ちゃんの声と口調に、安心して泣きたくなる。

だけど頑張ってる太ちゃんの足枷に、私はなりたくない。

だから、精一杯強がって見せる。

「大丈夫だよ、何も無いよ。
何か有ったら、ちゃんと言うから。」

私は頑張って、太ちゃんに笑顔を作って見せる。

そんな私の言葉を訊いても、心配してくれる太ちゃんを見てると、"甘えてはダメ"だと勝手に思い込んでいた。

そして私が大学を卒業して就職する頃には、太ちゃんは色々なドラマに、出る様になった。

学園ドラマや恋愛ドラマ、メンバーと共演する作品が次々と決まっていった。

正直太ちゃんがドラマの中で、私以外の女性の名前を呼んで、彼女の事を想うシーンを見ると、胸の奥が張り裂けそうになった。

私じゃない人の名を愛しそうに呼ぶ声は、耳を塞ぎたく成る程辛かった。

だけど出演が決まる度、嬉しそうに報告してくれる太ちゃんに、そんな私の気持ちを伝える事は出来なかった。

太輔「最近ドラマのスタッフさんに名前を覚えて貰って、声を掛けて貰える様になったんだ。
キスマイと言うグループは、少しは知られていると思っていたんだ。
だけどドラマに行くと、俺達の事を知っているスタッフさんなんて居なくてさ、正直悔しかったんだ。」

太ちゃんはそう言って私に、今の自分の正直な想いを伝えてくれた。

きっと不安な私の気持ちを、太ちゃんは察してくれていたんだと思う。

仕事で忙しい時ほど連絡してくれたのは、その為だったんだと後で分かった。

「太ちゃんの頑張りを、ちゃんと見ていてくれてるんだよ。良かったね、太ちゃん。」

太輔「有り難う・・・そうだと良いんだけど。
皆に認めて貰えるよう様に、俺もっと頑張るよ。」

嬉しそうな太ちゃんの声を聞くと、私の寂しさや不安を、言ってはいけない気がした。

だから私は、また嘘を付いた。

「私の事は気にしないで。
ドラマで忙しいのに、無理に連絡しなくて良いからね。台本覚えたり大変でしょ？」

本当は淋しくて仕方無いけど、

"太ちゃんが頑張っているんだから、我が儘を言ってはいけない"

そう自分に言い聞かせていた。