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幼馴染み 渉編 3 ページ11

Aside


暫くすると足音が聞こえた。




その音はリビングの前で止まると、直ぐにドアが開いた。




ドアの方に目をやると、渉が立っていた。




「渉?・・・今日は来れないって・・・。」




渉「お前がLINEで"腹、壊してやる。"とか言うから、一応心配になってさ。
・・・おっ梓、来てたんだ。」




梓に気が付いた渉が、声を掛けた。




梓は渉の問い掛けに何も答えず、下を向いたままじっとしていた。




渉「ん?どうした。」




そう言うと、梓の頭に翳した手で二回触れた。




それでも顔を上げようとしない梓を見て、何かを感じた様で、




渉「・・・俺、今日帰るわ。」




そう言って、出て行こうとした。




私は渉に"ごめんね"と声を掛け、玄関まで見送りに行こうとした。




けれど渉は、一向に動こうとしない。




良く見ると俯いたままの梓が、渉の手首を掴んでいた。




すると渉は、さっきまで私が座っていた場所に、腰を降ろした。




渉「あず、無理しなくて良いぞ。
あずのタイミングで、話したいと思えば話せば良いから。」




渉は、梓の頭を優しく撫でた。




昔から渉は梓の事を、本当の妹の様に可愛がっていた。




梓も小さい頃から、横尾三兄弟の中でも一番年の近い渉を、とても慕っていた。




暫くして少し落ち着きを取り戻したのか、梓がゆっくりと渉に話始めた。




優しい眼差しで梓を見つめていた渉の表情が、話が進むうちに段々険しくなっていく。




梓の話が終わると、黙って聞いていた渉が口を開いた。




渉「無理矢理って訳じゃないんだから・・・梓、お前も悪い。
だけど和人も。大切な人を泣かせたら駄目だろ。」




梓に打ち明けられて、何て言えば良いのか分からず、声を掛けれなかった私。




そんな私とは違い渉は、優しい口調だけどちゃんと梓を叱ってくれた。




渉に言葉を聞いた梓は、身体を丸めて俯いた。




渉「少しでも早くおじさんとおばさんに、伝えた方が良いと思う。
でもその前に梓、・・・お前はどうしたいの?」




俯いたままの梓の様子を見て、渉は優しく訊ねた。




渉の優しい口調に安心したのか、それとも渉に聞いて貰えて気持ちが楽になったのか、顔を上げ渉を見つめると、




梓「・・・赤ちゃん・・・産みたい。」




言いづらそうに、でもキッパリと梓はそう言った。




その言葉を聞いて渉は、




渉「分かった。
・・・梓、近い内に和人に会いたな。」




そう言った。

幼馴染み 渉編 4(一部訂正有り)→←幼馴染み 渉編 2



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作者名:紅廉 | 作成日時:2017年8月25日 1時

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