幼馴染み 渉 編 2 ページ8
Aside
インターホンの音で目を覚まし、ふと時計に目をやると既に14時だった。
鳴り続ける音に、寝起きの回らない頭で慌ててドアを開けに行くと、沢山の荷物を持った渉が立っていた。
「人の事呼んどいて、何時まで待たせるつもりだよ。荷物が重いから中に入れてよ。」
慌てて避ける私に、
「お前さ、ドアを開ける時は、誰か確認してから開けろよ。」
怒った口調の渉に、
「あっ・・・ごめんなさい。」
私が素直に謝ると、
「A、女の子の独り暮らしなんだから、気を付けないと。」
そう言うと、渉は頭をポンポンした後、優しい笑顔を向けてくれた。
「うん、分かった。有り難う。」
私も笑顔を返した。
わっ君の笑顔はズルい。
私は小さい頃から、あの笑顔に弱かった。
「何やってんの。早く横になりなよ。直ぐにお粥作るから、薬飲んで休もうな。取り敢えずこれ飲んでて。」
そう言って渉は、テキパキと動き出した。
「有り難う。」
渉が来てくれた事に安心したのか、私は横になって再びウトウトと眠り始めた。
時折頭を持ち上げられて氷枕を作ってくれたり、手をおでこに当てられたり、優しい手の感触を感じながら眠るのが気持ち良くて、幸せな気持ちに浸っていた。
「A・・・A・・・起きろよ。お粥出来たよ。」
「う〜ん・・・渉?」
「起きれる?これ食べて、薬飲もう。」
渉は、熱のせいでなかなか起きれ上がれない私を、ベッドに腰掛け起きるのを手伝ってくれた。
小さい頃から優しい渉。
「わっ君、有り難う。」
「熱いから気を付けて。」
渡された器の中には、私も昔食べた事の有る"横尾家特製大根の入りのお粥"だった。
「美味しい。おばさんの味と一緒だね。」
渉を見ると、私の横で優しい笑顔を向けてくれた。
「ほら薬飲んで、もう一休みしな。
俺、今から仕事だから、後で様子を見に来るから。
A、鍵を貸しといて。寝てるところを起こすのは申し訳無いから。」
「いいよ。仕事の後だと疲れてるでしょ。
お薬も飲んだから、もう大丈夫だよ。」
「病人はそんな事気にしなくて良いから、とにかく早く鍵を貸して。」
「ごめんね、有り難う。」
「ごめんねは、要らないよ。」
私が渉に鍵を渡すと、その足で渉は仕事に向かった。
220人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:紅廉 | 作成日時:2016年3月8日 3時