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幼馴染み 健永 編 4 ページ47

Aside


それからは、時々私から電話をしたり、健永から掛かって来たりで、何気無い話で楽しい時間を過ごしていた。




その頃の私達は、健永が私のバイト先に買い物に来た時に会う事は有っても、約束をして会う事は無かった。




そんなある日、珍しく夜の遅い時間に、健永から電話が有った。




「ごめんね、こんな時間に。
・・・Aちゃん、寝てた?」




何だか電話の声が沈んでる?




「大丈夫だよ。何か有ったの?
何時もの健永君と違うけど・・・。」




本当はそっとしておいて上げたかったけど、どうしても気になって、つい口に出して聞いてしまった。




「・・・うん。・・・ねぇ、俺ってどうすれば認めて貰えるんだろう・・・」




弱気な健永君は初めてで、私は戸惑ってしまった。




何も答えない私に、




「ごめん、変な事聞いて。何でも無いから。
・・・気にしなくて良いからね。」




明らかに違う健永に、




「良かったら話してみない。
話すだけでも、気持ちが楽になるかも知れないし。」




健永は少し考えた後、




「・・・うん。・・・ねぇ、俺って何が足りないのかな?」




「・・・足りない?・・・足りないものなんて・・・思い浮かばないけど、どうしたの?」




健永は少し困った様に、




「何て言って良いか分かんないけど・・・他のメンバーと比べて・・・。」




そう言うと、黙ってしまった。




何となく自信を無くしている様な気がして、




「私には詳しい事は分からないけど、私の好きな詩の"わたしと小鳥と鈴と"の一節に"みんなちがって、みんないい。"って言葉があるの。」




「・・・うん。」




「それぞれ出来る事も、出来ない事も違うけど、だから良いんだよって・・・。
それを聞いてから、自分と人を比べるのは止めようって、思える様になったの。」




「・・・」




電話の向こうで健永が考え込んでいるようで、私は余計な事を言ってしまったんだと、後悔した。




「ごめんなさい・・・変な事を言ってしまって・・・」




そう言って言葉に詰まった私に、




「Aちゃん、有り難う。
・・・そうだよね。俺は俺だから・・・それで良いんだよね。
うん。ごめんね、遅い時間に。
Aちゃんと話せて良かった。じゃあ、お休み。」




急に元気になった健永に戸惑いながらも、




「・・・お休みなさい。」




そう言って、電話を切った。




電話を切った後も、健永の事が気になって仕方なかった。

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作者名:紅廉 | 作成日時:2016年3月8日 3時

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