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幼馴染み 裕太 編 7 一部訂正有り ページ35

Aside


「そうか・・・でも俺は、やって欲しくないな。」




「えっ・・・」




少しは喜んで貰えると思っていた私は、裕君の言葉に俯いてしまった。




そんな私を見て、




「"俺達の近くに居たい"って気持ちは嬉しいよ。」




だったら、




「でも、Aちゃんが沢山の人に見られるかと思うと、俺が嫌なんだ。」




言われている事の意味が分からずに、裕君を見詰めていると、




「あんま見ないでよ。
・・・俺・・・Aちゃんの事、独り占めしたい。」




「・・・」




「分かんない?
俺、ずっとAちゃんの事が、好きだったんだ。」




・・・裕君が・・・私の事好き?




裕君の言葉が信じることが出来ず、黙ったままの私に、




「ねぇAちゃん、こっちを見てよ。
ずっと大切に思ってた。小さい頃から俺が守ってあげるんだと・・・。
だから、男として守れる様になりたくて、仕事も頑張ってきた。」




私は顔を上げ、裕君を見詰めた。




「ごめんAちゃん。もう少し俺に時間くれない?」




裕君はそう言うと私を引き寄せた。




「今の俺じゃ、君を守れない。
だから俺が力を付けるまで、もう少し待ってくれる?」




裕君は耳元で囁くと、強く私を抱き締めた。




「それって、今はダメって事?」





「傍に居て欲しいけど・・・。
Aちゃんには、杏里の様な辛い思いはさせたくないんだ。」




「・・・お姉ちゃん?」




考え込んでいる私に、




「杏里、俺と幼馴染みで仲が良いっていうだけで、仕事で知り合った女の子達に嫌がらせされてたみたいで・・・」




お姉ちゃん、一言も言ってなかった。




「私、知らなかった。」




「あいつ俺が気が付く最近まで、何も言わなかったんだ。
"裕君が悪いわけじゃないんだから。気にしないで。"って笑うんだ。」




お姉ちゃんの事だから、裕君の事を思って言わなかったんだと思う。





「それが分かった時、今の俺は"まだ誰も守れていない"と思った。」




「そんな事・・・」




「杏里は強いから・・・だけどAちゃんは・・・だから今は俺・・・」




私は裕君の胸を押し離し、




「私達姉妹だよ。だから、私だって大丈夫。」




私は、自信満々にそう言い切った。




すると裕君は私を見て、




「んはは・・・そうだったね。
Aって、泣き虫のくせに負けず嫌いだったわ。」




裕君は、顔をくしゃってして笑った。

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作者名:紅廉 | 作成日時:2016年3月8日 3時

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