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幼馴染み 宏光編 3 ページ3

Aside


小さい頃からずっと一緒だったから、お互いの事は何でも解っているつもりだった。




サッカー小僧の宏光が、私とは別の高校に行って突然サッカーを辞めて、ジャニーズに入るまでは。




それまでは毎日会って話していたのに、会う時間も会話も殆ど無くなり、別々の時間を過ごす様になった。




それまで兄妹の様な存在だった宏光を、好きだと意識し始めたのは、会えなくなってから改めて宏光の存在が、私の中で特別だと分かったから。




でも自分の気持ちに気付いた時にはもう遅くて、宏光はデビューと言う目標に向かって、ひたすら頑張っていた。




結局、私は自分の気持ちを伝えられずに、今のポジションを守る事を決めてしまった。




「好きな人に意地悪するなんて、以外に宏光も子供だね。」




そう言って笑っている私は、完全に幼馴染みだ。




「うるさいわ。
まぁ、俺の好きな奴はかなり鈍感だから、俺が意地悪しても気付かないけどな。」




「小学生じゃあるまいし、その年で意地悪するなんて、相手がふつうの女性なら、自分の事を嫌っているとしか思わないよ。少しは大人になりなさいよ。
で、相手はアイドル?それとも女優さん?
宏光の周りにいる人達って、やっぱり綺麗な人ばかりなんでしょ。」




本当は宏光の好きな人の話なんて、聞きたくなんか無い。けどそんな私の気持ちさえ気付いてないんだろうな、宏光は。




「多分他人から見たら、普通だと思うけど。
でも俺は、誰よりも綺麗だと思ってる。」




「そうなんだ。
良かったね。そんな人に出会えて。」




"ねぇ宏光。
私の前で、そんな優しい顔して好きな人の事言わないでよ。
幼馴染みだと割り切ろうとしても、結構辛いんだからね。"




本当の気持ちを言えないまま、私の口から出るのは、可愛くない言葉。




「そんなに素敵な人なら、宏光の為に私が協力してあげるよ。幼馴染みなんだから。」




宏光は少し考えて、




「気持ちは有り難いけど、遠慮しとくわ。」




「何でよ。私は意地悪なんてしないよ。安心してよ。」




必死な私を見て、




「分かってるよ。お前がそんな奴じゃないことは。」




「じゃあ、紹介してよ。ちゃんと協力するから。」




わたしの言葉に呆れた顔をして、宏光は部屋に入って行った。

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作者名:紅廉 | 作成日時:2016年3月8日 3時

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