やまない雨 １ ページ6
*
「……まだ降ってる」
言い逃げする形でエース君達の前から無意識に選んで移動した先は中庭だった。お昼休みだというのに人の気配が感じられないのは、雨が降っている事が原因だろうか。
朝から振り続けていたバケツをひっくり返したような雨は弱まってはいるものの、まだ止む気配はない。まぁゴーストは雨に濡れることなんてないから私には関係ないのだけど。
最後に雨に濡れたのはいつだったかな。なんて、ぼんやりとした頭で昔の事を思い返しながら私はレインコートを身に纏った。足には膝下まであるオシャレなデザインのレインブーツ。雨の日コーデの完成だ。
「我ながらいい感じ！」
魔法というのか、ゴーストの力というのか、ゴースト歴の浅い私にはよく分からないけど、私は最近、念じるだけで一瞬で衣装チェンジが出来るようになった。
クローゼットも必要ないし、なによりコストがかからない。だから生前はあまり興味の無かったオシャレというものを今の私はめいっぱい楽しんでいた。
「うーん……」
とはいえ、所詮は念じて着用している物。レインコートも本来なら雨で衣服が濡れるのを防ぐための物なのに、念じて着ているだけのその外套に雨粒は弾かれることはなく、雨は私の身体ごとすり抜けて地面に染みを増やしていた。
雨に濡れるのは煩わしいけど、やっぱりたまには雨に打たれる感覚を味わってみたいものだ。
生前を懐かしく思いながら誰も居ない中庭を歩いていると、
──パシャッ
ふいに、水溜まりを踏み付けたような足音が耳に入った。
「ん？」
しとしとと降る雨の中、その音はやけに響いて聞こえた。誰か居るのだろうかとキョロキョロと辺りを見回してみる。しかし依然として中庭に居るのは自分だけで、音の正体が分からず首を傾げる。
気の所為だったのかな、そう思いながら何気なく足元に視線を落とした時、それが目に入った。
「水溜まりだ」
私のレインブーツを履いた右足が少し大きめな水溜まりの中に浸かっていた。もしかして、と思いその右足を上げ、そしてもう一度勢いよく水溜まりに向かって下ろしてみた。
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塩(プロフ) - コメント失礼致します。ゴーストちゃんと生徒たちの関係性がとても可愛くて続きが気になります！ゴーストちゃんにはいろんな愛を感じて幸せになってほしい……！お身体に気をつけて、無理せず更新頑張ってください！応援しています！ (2020年7月18日 15時) (
レス) id: 791ebcf5a9 (このIDを非表示/違反報告)
ラム - 話し続きが気になる (2020年6月28日 15時) (レス) id: 9e05ed3410 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みるくる | 作成日時：2020年6月26日 18時
