人生ゲーム 1 ページ11
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放課後、ボードゲーム部へと遊びにやって来た私は、アズール君とイデア君と私の三人で一つの机を囲んでいた。机の上には人生ゲームという名のボードゲーム。
運頼みともいえるこのゲームは、イデア君が持ち込んだ最新版のボードゲームだ。運頼みが嫌いなアズール君は一瞬だけ眉間を寄せていた。
「アズール氏、これは前回のと違って、サイコロを振るのではなくルーレットを回して出た数に従って駒を進めるゲームでござるよ」
「アズール君、残念だったね。せっかくサイコロの5の目を高確率で出す神業を身に付けてたのに」
「問題ありません。最終的に勝てばいいだけの話です」
フッと挑発するような笑みを浮かべたアズール君に、私とイデア君は思わず顔を見合わせた。
もしも今日、アズール君がこのゲームに連敗するような事があれば、彼はサイコロの時と同じように、ルーレットで狙った数を高確率で出せるようになる術をまた自力で身に付けてくるのだろうか。
イデア君も私と全く同じ事を想像していたようで、私達は頬を引き攣らせた。
「では、始めましょうか」
そうして、ついに始まった人生ゲーム。ちなみに、私はルーレットを回す事は出来ないので、私のターンではアズール君が代わりにルーレットを回してくれている。
「Aさんのターンですね。回します」
「お願いしまーす!」
何度目かになるその動作を目で追う。
6出ろ、6出ろ……と、そう強く願いながらルーレットを見ていると、何かを思い出したようなアズール君の声が耳に入った。
「そういえば……Aさん。フロイドが貴方の事を捜していましたよ」
「え、フロイド君が?なんで?」
「さあ?理由を訊ねてみても本人が口を割らないので、僕にも詳しい事はわかりません。ですが、機嫌がいいようには見えませんでしたよ」
「ええ……何それ、すごく怖い」
カラカラと小さな音を立てて回っていたルーレットが静かに止まる。針は6を指していた。
願った通りの数字で止まって嬉しい筈なのに、全く喜べない。それに、早く駒も動かさなくてはいけないのに、今の私はそれどころではない。
「A氏、何をしたでござるか?」
イデア君もアズール君もゲームよりも今はこの話の方が気になるのか、二人の視線はボードから私へと向けられていた。
うーんと唸りながら顎に手を当てて最近の事を思い返してみる。パッと思い浮かんだのはやはり今日の昼間のあの出来事だった。
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塩(プロフ) - コメント失礼致します。ゴーストちゃんと生徒たちの関係性がとても可愛くて続きが気になります!ゴーストちゃんにはいろんな愛を感じて幸せになってほしい……!お身体に気をつけて、無理せず更新頑張ってください!応援しています! (2020年7月18日 15時) (レス) id: 791ebcf5a9 (このIDを非表示/違反報告)
ラム - 話し続きが気になる (2020年6月28日 15時) (レス) id: 9e05ed3410 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるくる | 作成日時:2020年6月26日 18時