091.理性ＶＳ下半身 ページ42
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「わかんねー！お前のその価値観がわからねー！！！！」
「……うるせーよ」
目の前でわめきちらすフジに、苦笑いする俺。
マリオメーカーの収録を終えて、俺の家で駄弁っていると、話題はこの前のAちゃんの誕生日の話になった。フジは異物を見る目で俺を見て、そして喚き始めたのだ。
「好き同士なら付き合えよ！！！！」
「いや、俺の話聞いてた？付き合うとかそういういつ壊れるか分かんない形に収めたくねーの、まだ」
「いや、俺が正しい！お前のここがおかしい！ここも！」
フジは俺の頭を指さした後に俺の下半身も指さした。下品。
いや、正直言ってフジの考えが正しいと思う。好きあってんなら付き合えばいいと思うし、喧嘩や別れが来たとしてもそれはそれだと思う。それ以上に、俺の彼女だという名目や、ハグやキス、それ以上の方が大事だから、みんな付き合うのだと思う。
「俺さ、Aちゃんと一緒にいんのが好きなんだよ」
「……うん」
「今はお互い好きって思ってるって知れただけで満足してる」
「……うぅーん」
「俺もAちゃんも変化が怖いんだよな。だから、俺たちのペースで変わっていけたらいいんじゃないかって」
「そんだけ」と自分の心も整理するように伝える俺に、フジは相変わらず「わからん」と言う顔をしていたけれど、暫くして「まあお前ららしいか」と笑った。
「6年経ってやっとってとこだもんな。まあ焦る必要も無いか今更」
「なんかお前に言われると腹立つな」
「なんでだよ！そういうことだろ！？」
つっこむフジに思わず笑う。
フジは「でもさぁぶっちゃけよ？」と話を続ける。
「それって生殺しですよね」
ズバリ図星。
「向こうもお前に好意があるんなら、別に何したって良いわけしょ？」
「……何したっていい訳では無い」
「俺なら無理だわ、理性vs下半身、下半身の即勝利〜！ってな」
ゲラゲラ笑っている。下品だ。いや、まあ間違ってはいない。
あの誕生日の日の最後、「まだ帰りたくない」という顔をあからさまにしていたAちゃんのことを、普通に抱きしめたくなった。
俺の中の天使と悪魔が交互に囁いて、「付き合ってないんだからそんなのだめ！」という天使がぎりぎり勝利した。
だからまあフジの言うところの「生殺し」。あながち間違いではなかった。
「はは、頑張れキヨの下半身！」
「下半身を応援すんなよ」
他人事のように楽しむフジを、俺は半笑いで睨んだ。
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作者名：parumu | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/parumu_u_62
作成日時：2022年4月10日 12時
