【ky】最終兵器妹2 (ページ33)

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082.カウンター攻撃ページ33

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　鼻声野郎によってセッティングされたAちゃんとのまさかの2人きりの時間に、俺は焦りつつも浮き足立っていた。
　誕生日の夜に、Aちゃんを独り占めできるわけなので、落ち着いたように見せかけるのでいっぱいいっぱいだ。

「何食いたい？」

「……オシャレな店とかわたし分からない」

「……俺もわかんない」

　ここでスマートにオシャレな店に案内出来たらカッコイイんだろうけれど、俺はそんなコネも持っていなければ知識もない。どうしたもんかと早速詰んだ。

　そんな俺を見透かしたようにAちゃんが笑う。

「オシャレな店じゃなくていいよ」

「じゃあ、Aちゃんの食べたいもん食おうよ」

「……お寿司？」

「……なんか回らない寿司屋とかそんなん？」

　俺の言葉にAちゃんは暫く考え込む。
　すると、意を決した様な顔をして、俺に「……キヨくんがあやさんと付き合ってないのなら」と予想外のことを言い始める。何を言い出すのか。

「つ、付き合ってねえけど」

　俺の言葉にAちゃんは安心したような顔になって、顔を赤らめながらボソボソと言った。

「わたし、キヨくんと二人で過ごしたい」

「……」

「……個室のお店か……、キヨくんの家が、いいです」

　可愛い。

　一生懸命言葉を続ける様子が可愛くて、酔っ払ってもいないのに、抱きしめてしまいたくなる。俺は必死にその衝動を抑え込むと「……俺ん家で、高い寿司の出前をとる」と提案した。

　Aちゃんはパッと顔を華やげてこくこく頷いた。

「そんなんでいいの？ほんとに」

「それがいい。せっかく2人なら、気を使わないところがいい」

「……そう？」

「なんなら高級じゃなくてもいい」

　俺と誰にも邪魔されない場所でゆっくり過ごせるというところに価値を置いているらしいAちゃんに、心の中でため息をつく。
　この子は、無自覚でこれをやってんのか？

「……そこは、誕生日なんだから高いの買ったげるわ」

「さすがキヨくん」

　Aちゃんは嬉しそうに笑うと、俺の横を歩く足取りがぐんと軽くなる。

「俺と二人きりで過ごせるのがそんなに嬉しいのか〜」

「うん」

　茶化そうとしたのにしっかりカウンターを食らう。
　Aちゃんは頬を赤らめながら「ケーキも買って！」とニコニコ笑った。

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